小説2
□永久の誓い2
(三×幸←家)
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東軍との和睦は、数回にわたる書状のやりとりにて順調に締結への道を進んでいた。
この選択に、西軍の中で多少なり反発する者がいるかと思ったが…
私や刑部の決定に、逆らえる者はどうやらいなかったようだ。
例外である毛利は、興味がないといった様子…
そして長曾我部は、どこかほっとした表情をしていた。
そして、私も…
真田を戦わせずにすんだ事に、心から安堵している。
しかし真田としては、やはり家康と戦いたかったのかもしれない。
武士として、刃を交え得る答えもまた…
必要なものだから。
「真田…」
「…はい?」
?
「お呼びで御座るか、三成殿。」
「真田、いた…のか?」
呟くようその名を呼べば、思いもよらず返る返答。
一瞬驚きながらも、真田が持つ盆に目をやりフッと笑みをこぼす。
「また団子か? 毎日毎日よく飽きぬな。」
「『また』とは聞き捨てなりませぬ!団子は鍛練と同じく、この幸村には毎日欠かせぬので御座る!」
「ほう、なるほどな。通りでその頬が童子のよう柔らかいわけだ。」
「むうぅ… 団子のせいでは御座らぬぅ!」
否定すべきはそこなのか?
そんな疑問を抱きつつ、そっぽを向いて隙だらけの真田からスッ…と団子を一串奪う。
「あッ… 某の…」
「少しばかりわけたところで、バチは当たるまい?」
ああ… と口を開けたままの真田を横目に、団子を一口頬張る。
餡がのって甘そうに見えたが…
悪くない。
「団子など久々に食べたが、たまにはいいものだな。」
「そ…そうで御座ろう!! 特にこの店のものは格別で、不思議といくらでも食べられまするッ! あ、三成殿、他にみたらしもありますぞ?」
「いや、私は…」
「某の分はまだ部屋にあります故、遠慮はいりませぬ。」
まだ… あるのか…
苦笑し、半ば押し付けられた団子をじっと見つめる。
「三成殿? みたらしは嫌いに御座るか?」
「…いや、そうじゃない。」
「三成…殿?」