小説2

□永久(とわ)の誓い
(三×幸←家)
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本当に望んだのは、たった一人の存在。

本当に欲したのは、たった一つの絆。





求めるモノはこんなにもはっきりしているのに、どうすればこの手に掴めるのか…





分からぬままに、気付けば天下を目指していた。








幾万もの絆をこの日の本に広げれば、その中にお前もいるのだと、繋がるのだとそう信じていた。

多くの者たちがワシを支え、賛同してくれるようお前も同じくそこに在るのだと。








なあ真田、なのになぜお前は三成のもとにいるんだ。
ワシではなく、なぜ三成なんだ。







三成の目指す先に、この世の未来なんて映っちゃいない。
あるのはそう、ワシへの深い恨みだけ…






間違っているよ真田。そう、間違えてるんだ。








だから正そう。
その絆は…





あってはならないものなのだから。






………――










地上に吹く風は穏やかで、空に浮かぶ月は柔らかな光を放つ。





不思議だ…
こんなに落ち着いた気持ちで空を見上げるのは、一体いつ振りになるのか。








「三成殿―――ッ!」







静かな時を破る、彼の者の声が聞こえる。

そう、幼くも強く、私の名を呼ぶ真田の声が。







「大声を出さずとも聞こえている。声を抑えろ、真田。」



「申し訳御座らぬ!しかしこればかりは生まれつきゆえ、どうにもなりませぬぞ?」







困った様に首を小さく傾げる。
そんな仕草に、自然と笑みが零れるのだ。






「三成殿?何を笑っておいでか?」


「何も。」


「嘘で御座る!今、確かに笑われたでは御座らぬか!」







頬を膨らまし、こんな事にムキになる。

そんな姿が愛しくて仕方ないのだと伝えれば、お前は今以上に真っ赤になってくれるのだろうな。







「教えて下さらぬのなら、この幸村にも考えがありまする!」


「ほう、どんな考えだ?」


「そ…それはッ…





こうするので御座るッ!」


「!!!?」






ぎゅうぅぅッ…






「さな…」


「もう、逃げられぬで御座るよ。」







いきなり飛び付いて来たかと思えば、思いもよらない事を口にする。


私が逃げるなど、ありはしないというのに。
この腕を振り払うなど…絶対に。

 
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