企画小説

□白華の丘
(三×幸)
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「ッ‥ く…」




私の下で、小さく体を捩る。




「あ‥ ふぅ…」




漏れる声を必死に堪え、この行為を受け入れている。




この男を‥
真田幸村を、こうして組み敷くのはもう何度目になるだろうか?







『三成殿‥今、何と‥?』


『何度も言わせるな。ただ黙って足を開け。』




戸惑いに揺れる瞳‥

けれどそれは一瞬で、真田が私の言葉に逆らう事はなかった。




真田を選んだ事に理由などはない。
ただそこに居合わせて、私の視界に入った‥ それだけの事。

こうして、何度も体を繋げる事にも意味は無い。


これは、ただの性欲処理に過ぎないのだから‥






「あッあッ‥ アアッ‥!!」




乱れる呼吸
高まる感情




繋がる箇所は炎のように熱い。


けれど、真田の瞳は私を映してはいない。
同様に‥私も。



この腕が、真田を抱く事は無い。
それは、意味の無い事だと知っているから。

真田もそれを分かっている。だから私に縋ろうとはしない‥




冷たいこの腕は、ただ敷布を握り締める。

真田の手は‥
何を掴んでいるのか…













誰よりも近い場所で、三成殿の鼓動を感じている。
それなのに、心は誰より遠くに感じてしまうのはなぜであろうか‥




拒絶する事も出来たこの行為。それでも、某は受け入れてしまっている。


それは‥





きっと、考えた所で見つかるはずも無い。

三成殿の瞳には、ただ一人の姿しか映ってはいないのだから‥



だからこれで良いのだろう。三成殿が某に求めない以上、某も三成殿には…




違う‥これではまるで、求められる事を待っているようだ。




(三成‥殿‥)




呼ぶ事も、呼ばれる事も無い互いの名。

胸がツキンと痛む理由に背を向け、ただ暗い天井を見つめていた。

 
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