企画小説

□One love
(親×幸)
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どうしようもなくハマってる
ヤバイなって、自分でも解ってるんだがぁ…


止まらない。

依存してるのは俺の方なんだろうか







「元親」



ギクッ



後ろから飛んできた鋭い声に身を固くする


…普段仕事でいねぇ癖に…


「お前、今から何処に行く?また喧嘩か?」

「俺を見ると喧嘩っていうのはやめろ!いつまでも…」


サヤカはどうだか、と肩を竦めて見せる


弟の俺から見てもイイ女 ただし性格はそんじょそこらの男じゃ太刀打ち出来ねえ位強く仕事もハンパない。
イコール男がいないってヤツだ。本人は男なんかいるか、なんて言ってるが。


普段深夜帰りのサヤカが珍しく早い時間にいるんだな、と焦る気持ちの中思う



「お前の進路相談役の話が「パスっ!またな!」」

「おい元親!」


サヤカの叫び声が家からしてるが構わず飛び出した


それより大事な用がある






夜の街を飛び出す
外気が肺を満たし新鮮な空気でいっぱいになる
喧嘩ばかりに明け暮れてた時も同じ空気を吸っていたはずなのに、この高揚する感じ、全然違う


小さな一人暮らしのマンションは電気も付かず静かだった 合鍵もないから玄関に座り待つ


…帰り遅いだけかな…


心配だが…
腹も減った、けどそれも気にならない位、早く


学校もままならない、頭は只一人のもとへ飛んでゆく






「元親殿、…ずっとここに?」

「お帰り」
立てた膝に伏せた顔を挙げれば疲れた様子の幸村が心配そうな顔をしてた

慌てて鍵を開け中に入れてくれる


「申し訳ござらぬ、残業があって、遅くなり申した」
「いいぜ、俺がスキで待ってるんだからな」


疲れてるのに甲斐甲斐しくも動き二人分の食事を用意し始める あー、っ俺って気ぃつかねえ…

メシ買ってくればよかった… しかし急こしらえでも作ってくれた丼は温かい味がする



「会社、大丈夫か?」

「…そうですね…以前より、少し…」


笑ってみせる






高校生の俺と会社員で15以上歳上の幸村の出会いはなかなかドラマチックだ


恋人に振られ会社でもダメ男扱いされていた幸村が、歩道橋の上から身を投げようとしてた。喧嘩帰りに通り掛かった俺が彼を止め…

ていうの。


自殺なんか考えるヤツは何回でもする。普通ならその場で別れ切れるはずの縁を俺はつないでた。
気になったんだ、こいつが大丈夫かどうかって。


最初は彼の家に行きメシを一緒に食い少し話をするだけ 全然話もしない、暗い表情をしてた幸村も段々、ほんの少しずつ、話をし出して。



通い始めて何日過ぎた頃だろう。いつものよう夕食を食べてると突然幸村が声を上げ泣き始めたんだ。

 
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