企画小説
□獲物はどっち?
(政×幸)
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「それはぁ‥ 某ので…」
よく晴れたある朝、爽やかな風が開け放たれた窓のカーテンを揺らします。
「食べたいで御座るぅ〜」
部屋の中には、ふかふかのベッドで眠る子猫の…いえ、オオカミの幸村の姿がありました。
その意識はまだまだ夢の中にあるようで、ムニャムニャと寝言を言いながら気持ち良さげに眠っています。
暫くすると、コツコツ部屋に近づく足音が聞こえてきました。
幸村の大きな耳はピクッと反応を見せるものの、起きる様子はありません。
コンコン‥ ガチャ…
ノックと同時、開かれたドアの先には右目に眼帯をしたブタ… 政宗の姿がありました。
「…腹出して、無防備極まりねえな。」
部屋に入っても、起きるどころかスースーと気持ち良さげに寝息を立てる幸村に、呆れながらも政宗は優しい笑みを浮かべます。
「本当に、オオカミの威厳の欠片も無え…」
ベッドに腰掛け、長い一房の髪を指で梳けばうっすらと幸村の瞳が開かれました。
「Good Morning幸村。漸くお目覚めか?」
顔を覗き込む政宗ですが幸村の意識はまだぼんやりしているようで、茶水晶の瞳はどこか眠気を纏っていました。
「コラ起きろ。朝メシ、冷めちまうだろーが。」
寝汗を掻いていたのか、額に張り付く前髪を上げれば幸村は「う‥ん…?」と政宗を見つめます。そうして自分に伸ばされていた手を取り、口元に寄せるとペロリと小さな舌で舐めたのです。
「ゆ‥き…村!?」
その仕草に、政宗は隻眼を見開き驚きました。
が…次の瞬間、フッと口は弧を描いていたのでした。
「朝っぱらから積極的なhoneyだな‥ 嫌いじゃねえが。」
迷惑どころか、寧ろ大歓迎だと政宗は愉しげです。
(このまま食っちまうか…)
起こしに来た目的を忘れ政宗の思考はあらぬ方向へ走り出しますが、その加速を促すかのように幸村は両腕を政宗の首に絡めました。
「Oh‥恥ずかしがってても、結局気持ちイイ事は好き何だろ? イイぜ、俺が相手を……!?」
ドサッ‥
「An?」
幸村にのしかかろうとした政宗ですが、逆に押し倒され呆気にとられてしまいます。