小説

□パラレル★トラベル
 〜再会〜
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「おっはよ〜旦那! 今日も元気… はなさそうだね。」

「佐助か… 」



いつもと変わらぬ通学路を歩いていれば、いつもと同じ様に佐助が声を掛けてきた。



「佐助か… じゃないでしょ? ぼーっとしちゃって、どうしたのさ?」



佐助は幸村と並んで歩き、ヒョイッと顔を覗き込む。



「別にどうもしてないぞ。少し、寝不足なだけだ。」



幸村は笑顔でそう答えるが、佐助には何もないようには見えなかった。それというのも幸村の異変がもう一週間ほど続いているからだ。



(伊達の旦那が帰って来てからなんだよね〜。喧嘩でもしたのかな?)



そう気にはなりながらも佐助は幸村を問い質そうとはしなかった。

幼い頃より兄弟のように育ってきた幸村が、佐助に相談を持ちかけてくる事は多い。だから幸村から言って来るのを待っていたのだ。だが今回はそんな様子を見せてはこない…
一人で解決しようとしてるのか、己には言えない事なのか…
どちらにせよ少し寂しい佐助だった。



「あんまり夜更かししちゃ駄目だよ? ちゃんと睡眠とらないとお館様みたくなれないんだから。」

「ん‥ ああ…」



どこか上の空な幸村に苦笑しながらも、佐助はそれ以上の事を口にはしなかった。



………ー―



幸村と政宗が奇妙な体験をし、BASARA世界から戻って一週間が経っていた。
マサムネが言っていたように幸村が戻ると何事も無かったように世界は動いていて、幸村の事を忘れていた佐助も変わらず「旦那〜」と呼び掛けてくるのだった。



BASARA世界には約二週間いたというのに、こっちの世界はBASARAに行った日付のままだった。



「もう、大抵の事にゃ驚かねえよ。」



そう呟いた政宗の言葉に、幸村も頷いた。

『世界を渡る』なんて非現実な事を自分達はしてしまったのだから…



そうして、前と変わらぬ日常を幸村は過ごしている。こうしていると全ては夢だったのではないかと思うほど平和な毎日…


けれど別れ際ユキムラに手渡された包みが、嘘ではない… 夢ではないと証明していた。



(髪結いの‥紐…)



中に入っていたその紐で、幸村は自身の髪をキュッと結んだ。そうする事で違う世界にいてもユキムラと繋がっている気がしたのだ。



(ユキムラ‥ 元気かな…)

 
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