小説

□パラレル★トラベル
(政×幸)
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う‥ん な、んだ‥紅い…?紅い光…



「んぁ…夢…か。」



優しい朝の光が差し込むベッドの上、静かに目を覚ました幸村は一人呟いた。



「また‥あの夢…」



ゆっくりと体を起こしながら幸村は、ここ一ヶ月頻繁に見るようになった夢について考えていた。考えるといっても夢に出てくるのはユラユラした光のみ…

(あの紅い光…俺は知っているような気がする…)

目を閉じ、あの紅を思い浮かべる。

(それにしてもあの光、以前より輝きが増しているような…)

そう少しの間考え込んでいた。
そこへ、ふと部屋のドアの向こうから自分を呼ぶ声がする。



「…きむら‥幸村?起きているのかい?」



その声にはっとなり、幸村は視線をドアに送った。その声の主は幸村の兄信之のものだった。



「おはよう兄さん。ちゃんと起きているよ。」

「おはよう幸村。今日から新学期だろ?朝ご飯用意してあるから支度して降りておいで。」

「あ‥うん。すぐ行く。」



幸村がそう返事をすると階段をトントンと降りて行く兄の足音が聞こえた。

(夢の事をあれこれ考えても仕方ない…か)

そう思い、思考を現実へと戻した。もとより深く考えるのは幸村の得意とするものではない。兄に言われたように身支度をし、朝食を食べるべく階段を降りた。

下では家事をせっせとこなす兄の姿と、テーブルで新聞を読んでいる父の姿があった。



「おはようございます父さん。」

「おはよう幸村。‥何かいい夢でも見ていたのかい?」

「えっ?」



父の言葉に少し驚いた。『いい夢』というわけでもないのだが、『夢』という言葉に反応し、少し上擦った声が出てしまった。



「いや、朝幸村が自分から起きて来ないなんて珍しいからなぁ…団子の夢でも見ていたのかと‥」

「だ‥団子!?」



父の言葉にまたまた幸村は驚いてしまった。そんな幸村を見て、二人の会話を聞いていた兄が口を挟んできた。



「父さん、高3になる息子に団子の夢は無いでしょう?冗談(いや本気かも)にしてももっと他にないんですか‥」



信之は呆れたように言った。



「い、いや冗談を言ったわけでは‥しかし冗談でなければ本気で言った事になるのか…?」
 
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