企画小説
□Wish
(政×幸)
2ページ/6ページ
待ち合わせは、いつもと同じこの場所。奥州と甲斐の中間点で見つけた、大きな桜の木の下。
(まだ、来てねえみたいだな‥)
辺りを見回してもその姿は無く、思っていたよりだいぶ早く到着してしまった事実に笑みが零れた。
(どれだけアイツに会いたがってんだ‥ 俺は。)
だが女々しくも求めてしまう。自分の存在意義を示してくれるただ一人を。
「政宗殿―――ッ!!」
「Ha!来たか。」
遠くから響く呼び声。
暑苦しい程のその存在に目を細める。
「warming-upは出来てるか?真田幸村ッ!!」
「無論!この幸村、準備万端に御座るッ!!」
「いい心掛けだ!」
叫び合い、向かって来るアイツに俺も走り出す。手に刀を握り締めて。
キイィィンッ!
刃と刃がぶつかり合う。
小気味良い音が鼓膜を震わせ、グッと手に力が籠もる。
「いいな。やっぱアンタは強え。」
「政宗殿こそッ‥!」
刃の先にある、強い意志を纏った瞳‥
そうだ。
この瞳が、俺をcoolじゃいられなくさせる。
操る炎で周りすべてを巻き込んで、熱く、熱く‥
「まだだ。まだ足りねえ!こんなもんじゃねえだろ?アンタの炎はッ!!」
「まだ‥まだアァァッ!!!!」
真っ直ぐにぶつかってくる、揺るぎない意志。それは他の誰でもなく俺だけに向けられる、俺だけのもの。
俺だけの‥
「最高のpartyだッ!!アンタの炎は、俺をこんなにも焦がしやがる!」
「某も同じに御座るッ!政宗殿の放たれる雷は、何よりもこの身を貫き申すッ!!」
「Ha!嬉しい事言ってくれるじゃねえか。俺の雷で、もっと痺れさせてやろうか?」
「望むところに御座‥「勿論、褥の中でもな。」
「は‥破廉恥で御座らああぁぁッ!!」
「An?間違ってねえだろ?」
ニッと笑みを浮かべれば、幸村の動きは明らかに精彩を欠く。
毎度毎度同じようなやり取りをしても、そっち方面の耐性はまるで付かないらしい。
まあ、そこがいいんだが‥
「勝負の最中に、何を申されるかッ!」
「何かって何だよ?」
「で‥ですからそれはッ‥」