PSYCHO-PASS

□Prologue
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Prologue 1


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シビュラシステム――この社会を形作る、包括的生涯福祉支援システム。
心理状態、性格的傾向、趣味嗜好など、[ヒト]を人足らしめる全ての精神的特質を暴き出し、最適幸福を提示し、与える、この国の神の名。



誕生以降、その性能を上げ続けたシステムはついには人の心の在り方を解き明かし、善悪の判断すらも可能とするようになった。
"犯罪係数"と呼ばれる、個人が罪を犯す可能性を予測した値。
これが規定値を超えたものは"潜在犯"として社会から隔離・あるいは排除され、全ての犯罪は事前に防がれる。
それでも例外的に目的を達成し、逃亡を開始する犯罪者も0ではない。
シビュラの張った網から零れ落ちた人間への対処――つまりシステムエラーへの対処・処理を行う為に厚生省公安局という形で警察機構は存続したと言える。



何の瑕疵もない、美しく、安全で、完璧な社会。
求めずとも与えられる、最善。
”善”とは何か。
”悪”とは、何か。
その行いが”善”なのか”悪”なのか。
その人物が”善人”なのか”悪人”なのか、数値を見ればわかる。
つまり現代において善悪とは、シビュラという完全な主観性においてそれが望ましいか否か、という事だ。




正義の執行。
システムの定義する善悪に則り、対象を断罪する銃口。




では与えられた武器の銃杷を握るその指が、[誰か]のものである意味とは。




[私]のものである意味とは。




あの日から答えを出せないまま




今も、ずっと。


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