07/26の日記

08:22
ペチュニアとカトレア
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「食べないノ?」


「食べないわ…食べるの?」


「食べるワ」


「そ、そう…」


「貴女達だって食べるデショ?」


「そういう食文化はあるけど、普通に暮らしていたらまず食べないわね…虫…。」


「!」


「カトレアは食べたことないノ?」


「勿論食べたことないわ」


「じゃあ貴女達は何を食べているのかしラ?本でしか読んだことないから興味があるワ」



「他の子がどうだかは知らないけど…野菜とか…」


「野菜ネ!」


「スープとか…」


「スープネ!」


「お米とか…?」


「ごはんネ!」


「…ぱ、パスタ…」



「パスタ!小麦粉から作られる食べ物ネ!つまり料理って事かしラ!」


「料理…?そう料理とか…?」


「料理よ!」




「あなたは料理しないの?」


「コウモリで居る時は特にしないワ。必要ないからネ。今は興味を持ってしているケド!」


「えっと…つまり…虫を?」


「そうヨ!」


「…」


「焼いたりするノ、おいしくなるワ!野菜だってちゃんと食べられるワヨ」


「真似をしてみれば気持ちが分かると思っテ!料理っていいワネ!!」


「それはよかった…」


「あなたも一度虫を食べてみてネ」


「…えぇ、そのうち……」


「………」




「ねぇペチュニア、あなたさっき本で読んだって言ってたわよね?」


「その通りヨ。それがどうかしタ?」


「ペチュニアは今までどういういった生活をしていたの?」


「森で暮らしていたワヨ」


「娯楽物もあったケド…」


「それが本?」


「いいえ、本は友達の家で読んだのヨ。まぁ私の家は専ら人間の真似事をしてるけどネ」



「友達?えっと…コウモリの?」


「人間の友達ヨ」



「…」


「貴女は一体何者なの?」



「コウモリだケド」


「今は人の姿をしているだけなの?」


「私たちは化けるのが得意だからネ、元々は違うワ」


「どうして人に…?」



「…」


「人間は私たちを誤解しすぎているワ。生活の邪魔をすると思っているのヨ、人間たちに危害を加えたり生活の障害をしたわけでもないのニ…」


「何もしてないのに邪険に思われるなんて気に食わないじゃなイ?」


「だから私は、人間とコンタクトをとって誤解を解きたいのヨ!」


「そしてコウモリがいかに素晴らしい生き物であるかを知ってもらいたいワケ!」


「それで紛れて行動しているのね」


「えぇそうネ」


「でもそれって時間がかかるんじゃない?」


「こっちの方が私も相手の事を知れるし、仲良くなってればすぐに理解してくれるワヨ。いくら時間が掛かったって平気。家族が安心して暮らせる内はネ」


「大変ね…」


「私の家はそうでもないワ…私の家族は人間が好きだシ」



「そうでない子も居るのね」


「…そうネ。家を埋められたり、燃やされた所もあるかラ…」


「仲良くなれば、そんな事もされないでしょウ…?」


「…」



「ごめんなさい、その…。あなたって見た目よりずっと苦労しているのね…。」


「(見た目より?)いいえ、私は大丈夫なのヨ」


「ただこれ以上争ってほしくないノ」


「…私が口出しできることではないけど、あなたたちが平和に暮らせるようになると良いわね」


「絶対なるワ!」


「わたし、コウモリと言ったらもっとこう…」


「……貴女達って独立しているのね」


「コウモリといったら真っ先に吸血鬼を思い出すわ」



「吸血鬼!そウ!!そいツッ!!」


「え?!」


「そいつらの所為でもあるのヨ!!あいつらって人間を食べるデショ?!…私たち吸血鬼の手下だと思われてるのヨ!!!!」


「周りにいるものね」


「風評被害デショ!!!!」



「ふ、風評…」


「ことあるごとに私たちを見下しテ」


「最低の連中ヨ!大嫌いだワ!!」



「ペチュニアが啖呵を切るほどなのね」


「えェ」


「気分を悪くしたなら謝るわ、ごめんなさい」


「何故カトレアが謝るノ?気分は特に大事ないワ」


「それより誤解が解けて嬉しいワヨ」



「…あぁ思い出しただけでむしゃくしゃすル」


「そんなに酷いの?」


「私の願いが叶うとしたらやつらの破滅を願うワ」


「物騒ね」



「…人が貴女達を誤解するように、ペチュニアも吸血鬼を誤解しているんじゃないの?」


「ありえないワネ」


「そう…」


「カトレアは吸血鬼が好きなノ?」


「?!」


「特別好きでも嫌いでもないわ」


「そウ、良かっタ!あなたが仲良くしてる子にいるのかと思ったワ!友達の悪口は嫌ヨネ」


「大丈夫、その心配はないから」


「相当じゃない限り中々そういった友達は出来ないわね」


「コウモリもかしラ」


「その通りよ」


「じゃあ私はカトレアの初めてのお友達ってわけネ!」


「え?」


「違うの?私は気に入らないかしラ」


「違うわ!!」


「なら良かっタ」



「…」


「…?」


「そうね…貴女は私のとって初めての友達ね…」


「嬉しいワ!」



「…ただ警備隊として言わせてもらうけど自分の正体は無暗に口にしない方がいいわ」


「?どうして?カトレアが聞いてきたんじゃなイ」


「そうだけど…カモフラージュだって出来るでしょう?」


「それに親しくないと、悪い事を考える者もいるから…とって食べられちゃうかもしれないし…とにかく駄目よ」


「食べても美味しくないケド…。わかったワ、気をつけるようにするワネ」


「そうしてもらうと安心だわ…」


「ペチュニアは警戒心が薄そうだから心配よ」

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