zzzA

□影響されやすい年頃
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「何見てんの?」


珍しく大人しいと思っていたら、ナツは真剣に資料室を覗いていた。
資料室と言えば、利用するのはフリードやレビィちゃんくらいなのでいつも人がいない。
そんな場所に一番興味のなさそうなナツが、一体何の用だというのだろうか。


「うわ、なんでもねぇ!てか、しっ!」
「なによ、なんでもないんじゃないの?」


そう言ってナツの傍から資料室を覗くと、そこには見慣れた黒い長髪の男、ガジルがいた。
何かを大事そうに抱えている。

それが何か分からなくて少し首を伸ばすと、隙間から青い毛髪が見えた。
考えるまでもない、レビィちゃんだ。

ガジルがレビィちゃんに噛み付くように唇を合わせている。

あまりの光景に固まっていると、ガジルの視線がこちらへと向いた。


「わっ」


焦って身を引くが、衝撃的なキスシーンを見てしまったせいか顔が火照る。
ナツはどういうつもりでこんな光景を見ていたのか、そう思って隣に座り込んでいるナツの顔を覗くと、意外にも意外、ナツの顔はこれでもかというほど赤くなっていた。


「趣味悪いわよ、覗きとか」
「別に覗こうと思ったわけじゃねぇ!」
「アンタ、顔真っ赤」
「ルーシィもな」


本当にコイツはああ言えばこう言う男だ。
単に何を言っても言い返されるのが悔しいのもあるが、あまりに憎たらしくて私は顔が引き攣っていた。


「覗きか、良い趣味じゃねぇか」


ギヒヒと笑ってガジルが資料室から出てきた。
そう言えばコイツもドラゴンスレイヤーだったのだ。
耳が良いのだから今の会話が聞こえていても何の不思議もない。


「知らなかったのよ!それより、レビィちゃんの了解は得てからしてるのよね?」
「いちいちそんなの取ってられるか」
「ちょっと!無理矢理!?」
「中入ってみればわかんだろ」


そう言い残して去っていくガジルがなんだか大人に見えてしまう。
私だって彼氏くらいすぐにできるんだから!なんて思ってみても、今のところそういう予定は少しもない。


とにかくレビィちゃんの安否を確認しなくてはと、未だ赤面しながら俯いているナツをその場に残して私は資料室へと急いだ。


「レビィちゃん!」
「る、ルーちゃん!どどどうしたの?」


少し赤く火照った頬をして、何かを隠すように無駄に元気に振る舞う彼女を見ると、ガジルのやったことがどういうことなのかはすぐに分かった。


よく思い出してみると、彼女はガジルと少しいい雰囲気だったはずだ。
だとしたら、レビィちゃんの想いが叶ったと思った方がここは無難だと思う。


「いや、なんでもないんだけどね。捗ってるかなって…」
「うーん、ちょっと今日はもう終わりにしようかなって思ってるよ」
「そっか、私ももう帰ろうかな。それじゃ、お先に」
「うん、バイバイ!」


そう言って資料室を出ると、まだナツは俯いたままだった。
コイツは一体いつまで照れているのだろうか。
リサーナが言っていた通り、ナツは意外とウブだ。


「ほら、帰るわよ!」
「なぁ、ルーシィ」
「なによ」
「…いや、なんでもねぇ!」


そう言い残して走り出したナツは、ハッピーに声を掛けるのも忘れて帰路についてしまった。


「酷いやナツ!うわーん!」


そう泣き出す猫ちゃんを慰めるのは、骨が折れた。






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