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□青桃がくっついてからプロポーズするまで
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青峰が結婚を決意したのは他でもない独占欲からだった。
何度抱いても拭えない不安の原因はかつてのチームメイトで、だがそれを口に出すのは憚られた。
口に出したらきっと黒子は姿を眩ますだろうと考えたからだ。
それは本意ではないのは自分でもよく分かっているし、そんな無様なことは出来ないと思った。
自分のちっぽけなプライドが大事で、でも不安は消えない。
そのせいだろうか、青峰は桃井との早期結婚にこだわった。


そうと決まればどう告げればいいのか、青峰は頭を抱えた。
高級レストランに呼び出してワインを飲みながら、なんて黄瀬じゃあるまいし出来そうにない。
素直に自分の思いを告げるなんて考えるだけで頭が茹りそうだ。
第一、学生の自分にそんな高価な指輪が用意できるとも思えなかった。
じゃあどうすればいいのか、考えたところで答えが出るとも思えない。
じゃあどうにでもなれと青峰が起こした行動は、桃井を心から喜ばせた。


「ん」
「なに?これ」

休日、いつものようにストバスに付き合わせて、暗くなったことだし帰るかと自宅へ足を進めたとき、青峰は小さな箱を桃井に差し出した。
いつもの調子を保っている青峰だが、内心は緊張している。
それを悟られないように「やる」と小さく言えば、桃井は「ありがとう」と言って素直に受け取った。
スルスルと解かれていくリボン、取り出された箱、そしてそれを開けたとき、桃井はものすごい速さで青峰の顔を見た。

「これ…!」
「今度おじさんとおばさんに挨拶行くから、予定聞いとけよ」
「え、これって!!」
「…なんだよ、嫌か?安もんで悪かったな、金ねぇんだよ」
「そうじゃなくて!」

そう言った青峰の言葉に、桃井は思い切り顔を横に振った。
それを見て、緊張気味だった青峰の頭は落ち着きを取り戻しつつあった。
だからといって、鼓動が落ち着いたわけではないけれど。

「大ちゃん、ありがとう!」
「おう」

照れくささからそっけなく返事をしてしまうが、青峰は内心嬉しくてしょうがなかった。

事のついでに青峰がプロのチームから誘われていることを話すと、桃井がそっちの方が大事だと怒りだした。
「オレにとってはこっちの方が大事だったんだよ」
青峰がそう言うと桃井は黙り込む。
そんな桃井の頭に手を乗せ、青峰は小さく笑った。

「契約金、入ったらもっといいの買ってやるから」
「いいの、これが良い」


あまり素直に慣れない二人だが、この日だけは自分の気持ちに正直だった。




end.




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