短編小説

□闇より
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闇。 この世の根源。
次に作り出されたのは……光。
すべての生を見、死を見る物。
そして、すべてに名が付けられたが、闇は光以前の産物。
名が付けられる事は無かった。
そこで闇から天使が生み出されたのだが、やはり欠陥はあった。
闇は創造に関し、無力。
光を浴びた天使は片翼を失った。
それを人々は出来損ないと意を込め、『堕天使』と呼応した。
その堕天使は闇に名を奪われ、代価としては永遠を得た。
容姿など変える事は無く、生を永らえた。
首を切り落とそうとも、心臓を抜き取ろうとも、
死は許されなかったという。
その堕天使は今も生き続けていると…。
それが事実ならば、俺の名を奴に与える。
奴の前に屍を晒す事をしたくない。
だから俺は、奴の死を見届ける立場でありたい。
そう思った。
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