短編小説

□カワイイ彼女
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「殴らせて?」
「は?」
彼女は唐突にそう言った。
別に怒らせるような事を言った覚えもやった覚えもない。
過去に遡ってみても、知り合ったのだって二ヶ月前だし。
「殴らせて」
聞こえなかったと勘違いした彼女はもう一度繰り返したが、聞き違いではなかったらしい。
「何で?」
「ちょっとね。学校で担任に嫌なコト言われたから」
…八つ当たりですか。
まぁ、可愛い彼女の我侭ならある程度は聞いちゃう俺だけど。今回はどうだろ…
「殴らせてくれたら、お金以外のお願い、なんでも一つ聞くから」
お金以外って言えるのはかなり冷静なんじゃないのかな?
だけど、いつもはキスだって人前では拒否されてたし。
「わかった。良いよ」
「条件は?」
「へ?」
「条件。先に言ってくれなきゃ殴れないじゃない」
「怒らない?」
「そんな変なコト?」
「…キスさせて」
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