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□SINCE LAST GOODBYE
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好きだと気付いた時には、それはすでに手遅れだと知った。
何故、アイツが好きだと言ってくれた時にその思いに応えてやれなかったのか。
俺は、いつもそうだ。
後になってから、必ず後悔する。
それでも俺は。
不二…お前の事が
*SINCE LAST GOOD BYE
俺がドイツに来て、一体どれだけの月日が流れたのか。
全国大会を終え、俺は単身ドイツへ来た。
プロへの道を、歩むために。
しかし一つだけ、日本にやり残した事がある。
最近はずっとそのことだけが気掛かりでならない。
『…不二は…元気にやっているだろうか』
毎日、毎日
日本に残してきた、アイツの事だけ考えてしまう。
こんなにも自分は女々しい男だったのか、と思うほどに。
俺は日本に居たときに、不二に告白された。
しかしその時は調度全国大会の前。
俺は、アイツの思いを切り捨てることしか出来なかった。
しかし、今思えばアイツのあの真剣で真っ直ぐな思いを何故切り捨ててしまったのかと後悔している自分がいる。
あの時の俺は、テニスに集中したいが為、アイツの気持ちを理解しようともしなかった。
その後悔の念が、アイツと離れてから押し寄せてきた。
(…俺は…どうすればいい)