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□願わば、この思い君に…
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天才なんて呼ばれていても、結局僕は君の次。
うちの一番は今も昔も、手塚国光。
誰が天才なんて皮肉めいた二つ名を付けたんだろう。
天才って…どういう意味なんだろう。
天才より上が居るなんて、本当に僕は天才なんだろうか。
*願わば、この思い君に…
いつも通りの毎日。
部活も、さっき終わったところ。
僕はいつもの様に、他の部員達から"天才" と持て囃された。
別にこの二つ名が嫌いなわけじゃない。
寧ろ、天才なんて呼ばれて嬉しいとも思う。
けど、最近の僕はこの二つ名にすごく敏感になっていた。
それは、彼の所為。
「やっぱり手塚部長はスゲェよな!!」
「そりゃプロにだって一目置かれるような人だからな。」
他の部員たちの、何気ない会話。
いつも通り。
うちの部員の誰もが慕う、うちの部長。
―手塚国光―
(…手塚…)
『…不二?…お前はまだ帰らないのか?他の奴らはもう帰ってしまったぞ?』
―っ!?―
1人部室の前で立っていると、後ろから聞き慣れた声が聞こえた。
「…うん。ちょっとだけ、自主練してたから。」
『そうか。』
「そういう手塚は?」
『俺は部誌を竜崎先生に届けてきたところだ。』
相変わらず、淡々とした答え。
これが、うちの一番。
別に、一番になりたいわけじゃない。
けど、天才より上が居る…それが…僕には納得がいかなかった。
手塚国光と不二周助。
いつも僕と手塚は並べて名前を挙げられる。
周りはいつも言う。
"天才不二周助と青学の部長手塚国光はどっちが強いんだろう"
と…。