雲の仕事
□cloud,4
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「おーい、皆ー!」
谷本が叫ぶとユニフォームに着替えている生徒(まだ着替え途中の人もいる)が「何だ?」と部室から出てきた。
「ん?誰だよ?そいつ。」
数多くいる中の一人が僕に視線を向けながら言う。
「コイツは転入生の蒼並連夜!野球部に見学に来てもらったんだ。」
ニカッ、という効果音が付くほどの笑みを浮かべながら谷本は雲雀を紹介した。
「見学って……そんな柔そうなのが?」
「どう見てもうちの部活に向いて無さそうじゃん。」
他の部員も雲雀を見て同意してゆく。
「(何なの?こいつ等、ムカつく……。)」
雲雀は思わず拳を握る。
当たり前だ。誰だって他人に見下されていい気分はしない。
プライドの高い雲雀にとっては尚更である。
「(咬み殺す!)」
「まあまあ。見学だし、どんな奴でもいいだろ?それに俺がお願いして来てもらったんだから。な?」
まさに、雲雀が動こうとした時だった。偶然だが、谷本の声が無ければ雲雀は確実に咬み殺していただろう。
「(危なかった……。)」
もしここで咬み殺していたら、潜入がバレてしまっていただろう。
「……………………分かったよ。」
一人の部員がボソッと言うと、他も渋々頷いた。
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