雲の仕事

□cloud,2
2ページ/6ページ


「蒼並か…。俺は谷本!谷本 竜太!」
「ふーん…。」

別に興味はなかった。どんな名前だろうと。どうせ弱いんだろ?

「どこ高だ?この近くか?」
「ここ。」

本当になんなのさ、早く立ち去りたい。咬み殺したい。

「ここ?」
「今度転入することになってる。」
「え!そうなのか?!」
「うん。」
「じゃあ、」

僕には珍しくちゃんと答えてやると、彼は誰にも好かれそうな笑顔で、

「これから、よろしくな!」

こう言った。














その後、彼、谷本は野球部の奴らに呼ばれ行ってしまった。
僕も他に用事がなかった為、そのままアジトの方へ戻った。

「恭さん、今日何かいいことでもありましたか?」
「?別にないけど。」

アジトに戻ると、仕事をひとしきり終えた草壁が僕にこう言ってきた。「なんで。」と聞くと、

「いえ、随分と嬉しそうにしていましたもので…。」

「すみません。」と一つお辞儀して草壁は何処かへ行ってしまった。

「……………。」

別に特別何かあった訳ではない。ただこれからの任務先に行っただけ。

「………………。」

ああ、そうかと導き出した答えに僕は目を閉じる。














「(あの笑顔は嫌いじゃなかったみたいだ。)」





.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ