捧物

□混沌
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‐江戸に入り込んだ非道な殺し屋集団・白戸屋勘右衛門一味により、裏社会は危機に瀕していた。手下になるのを拒み消される者、その力に恐れをなし配下に加わる者、そして江戸を捨てる者・・・無論、その魔手は八丁堀同心・中村主水にも及んだ。

『役人が手駒に加われば、江戸での仕事がやり易くなる・・・返答は、明日の夜に伺いますよ・・・』

大店の主、といった風体ではあるが元は武士なのだろう・・・腹の底が窺い知れない、薄気味悪い笑みを浮かべて立ち去る白戸屋勘右衛門の身のこなしには一分の隙もなかった。

 
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