08/06の日記

19:41
一方通行の恋愛事情17
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side:ヴァトー・ファルマン



ハボック少尉が大佐を担いで出ていったのを横目で見送る。
…その直後に何故だろう。背中に悪寒が走った。
ヒューズ中佐ではない、誰かにしばかれるような気配だ。
「あーあー。ロイ行っちゃったよ。」
ヒューズ中佐が扉を見て呟いた。
「んで?ファルマンを倒さなきゃここから先に進めないのか?」
「そうですね。」
「いつからこの話はバトルものになったんだよ〜。」
「貴方がマスタング大佐に手を出したからでしょう。」
「可愛げねーなー、ファルマン。」
「ハボック少尉と同じ事を言わないでください。あ、中尉、貴女も大佐の元へ…。」
言いながら振り返ると、そこには中尉のバズーカのみが残されていた。
「中尉は?」
私が尋ねると、ブロッシュ軍曹が答えた。
「『んっ大佐の身にオリヴ…じゃなくて危険人物が迫っている気配が』とかなんとか言いながら、『ヤバそうになったら止めてね、二人とも』つって出ていきましたよ。」
中尉、貴女は人間レーダーですかっ
…まぁ、いい。
ハボック少尉も一緒なら、問題はないだろう。
今は――――。
私はヒューズ中佐を見据える。
ヒューズ中佐も、こちらを見て、笑った。
「ファルマン、お前さん、俺に勝てると思ってるのか?」
「無理でしょうね。でも――――。」
「でも?」


「それは可能性の話にすぎないですから。」



side:デニー・ブロッシュ


「あの二人、戦闘モード入っちゃいましたねー。」
「そうね。」
「俺ら、茅の外ッスね。」
「そうね。」
「中尉もファルマン准尉もハボック少尉もヒューズ中佐も、皆大佐が好きなんですね。」
「そうね。」
「…ロス少尉、さっきから『そうね。』しか言ってないですよ。」
「そうね。」
「…抱きしめて、いいですか?」
「――――っ
「あ、やっとこっち向いた。」


side:マース・ヒューズ


先に動いたのは、ファルマン。
いや、正確に言うと、銃口をゆっくりと俺の頭上へ向ける。俺の額よりも遥か上を。
何がしたいんだ?
そう思いつつ、俺も投擲ナイフを構える。
ファルマンが発砲。
がすんっ!
頭上で音が響き、振り返ると、棚の上に無造作に置かれていた箱が大量に、そして豪快に落ちてきた。
――――俺めがけて。
「しまっ――――


side:ヴァトー・ファルマン


棚の上の大量の箱がヒューズ中佐に降り注いだ。
中佐はこれぐらいでは死なないだろう。
しかし、油断は禁物。
私はおそるおそる、箱の山に近づく。
「中佐?生きてますよね?」
返答無し。
…本当に、死んでないよな?
そう思った矢先、私は左足首をがっ!と捕まれ、前方に引かれた。
「わっ
尻餅をついて、転んでしまった。
足首を確認すると、箱の山から手だけが出ていた。
それから、山から投擲ナイフが二本飛んでくる。間一髪でかわすが、左足首の手は離れない。
「ファルマン…敵ながらやるじゃねーか…。」
箱を頭に帽子のようにかぶり、眼鏡を光らせて、ヒューズ中佐がのっそりと出てき――――って流石に恐い
「まさか、こんな手を使われるとはな。畜生、ワン公の野郎とかなり離れたんだろうな。」
「というか、私は中佐が箱の中に潜伏してたことに驚きました
「伊達に殲滅戦で戦ってた訳じゃねぇんだよ。」
「で、大佐の争奪戦では負けると。」
「どちらかっつーと、お前らの方が負けてんだろーが。俺はロイにキスしてもらったからな〜♪」
「二兎を追うものは一兎も獲ず…ですよ。貴方には妻子がいるから、どのみち勝ち目はないですよ。」



「…勝ち目がどうとか言う前に、本気でロイが好きなら、お前らもアクションを起こしゃいいだろ。何もしてない奴等に…それこそ、もしもの話だが、ロイが辛いときに、側にいるのに、何もしなさそうな奴等に渡す気なんてねぇよ。」



「…っどういう意味ですかその口ぶりは、私達が大佐の側にいながら、何も気づいてないとでも言いたいのですか
「その通りに決まってンだろ
「そういう貴方だって、大佐が中佐の子供自慢をしているとき、どんなに辛そうなのかお気づきですか
「あぁ知ってるさ知ってるともだけどなぁ、俺は貪欲なんだよ
「ふざけないでください
「大真面目だバカヤロー


side:デニー・ブロッシュ


「もうただの殴りあいの喧嘩になってますねー。」
「そうね。」
「あの箱の山、俺らが片付けるんですよね?」
「そうね。」
「しかも、言ってることがなんとなく支離滅裂ですね。」
「感情と体温が高ぶってるのよ。」
「まー、この部屋、暑いですからね。」
「そうね。」
「…このまま続けてても、意味ないよーな気がしますが…。」
「…しょうがないわね。」
「え?ロス少尉?それホークアイ中尉が置いてったバズーカですよ?何で抱えてるんですか?ちょ…っ、ダメですよ二人に向けて撃ったらここだってぶっ壊れちまいますよだから待って――――


ドォォォォン


side:ヴァトー・ファルマン


双方の拳が互いに当たる寸前、ロス少尉が私達に向けてバズーカを撃った。


あぁ…。文とはなんて簡単に状況が語れるのだろう。実際は、殴り殴られを繰り返していた。
中佐に私のパンチが当たる直前、間近に轟音が響いた。
呆気に取られ、音のした方を向くと、ロス少尉がバズーカを担いでいる。
反対側を見ると、部屋の入り口がもうひとつ作り上がっていた。
…もし、これが私達に当たっていたら…。
考えただけでゾッとした。再び、ロス少尉とブロッシュ軍曹を見た。
「ロス少尉――――何て事をしたんですかー
ブロッシュ軍曹がロス少尉に激しくツッコミを入れていた。
「もし、あの二人に当たっていたら…
「外れたじゃない。」
「ロス少尉今日はなんだか変ですよ
「さあ――――。」



「貴方が私にかまってくれないのが、原因かしら。」



「…………。」
「…………。」
双方、赤くなって黙った。
…そうか、ロス少尉は本当はブロッシュ軍曹にバズーカを撃ちたかったんだな…。



→I☆MI☆HU☆ME☆I
戦闘シーン、緩かったな…。精進しよう。
梅林さんに続く

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