07/30の日記

20:07
一方通行の恋愛事情15
---------------
side:ケイン・フュリー



…あれ、僕、どうしたんだろ…?
確か、煙が起こった時だ。ヒューズ中佐に、医務室の椅子に座らされて、ぐるぐる回転させられて、気絶して…。
じゃあ、ここは医務室?


頭がぼんやりする中で、僕は目を覚ました。
僕はベッドに寝かされていた。隣には、青い顔をして、ブレダ少尉が眠っている。
「お目覚めですかな?フュリー曹長。」
「あ…。アームストロング小佐。」
顔だけ、声のする方へ向けると、アームストロング小佐がベッドの脇で座っていた。
…そしてその後ろにある両開きになった悪趣味なデザインの扉は見なかったことにする。
「フュリー曹長?」
「すみません、小佐がベッドに運んでくれたんですね。」
「なぁに、二人とも軽かったので、苦ではなかったぞ。」
僕はそんなに重くはない。だけど、ブレダ少尉を軽いと言えるのはこの人だけだろう。
「それよりも、もっと食べて我輩の様な美しい肉体を持つべきですぞ
「わ――――脱がなくていいです!」
即刻、軍服を脱ぎ捨てようとする小佐を止める。
せめて、大佐の上半身なら見たいけどなぁ…。
そうだ、シャワールームに隠しカメラを設置して、盗撮しちゃおう。
大佐がシャワールームに入ったのを確認して、扉に「清掃中」の看板を掛けて…。
「フュリー、そりゃ犯罪だ。悪いこと言わないから止めとけ。」
「ブレダ少尉起きたんですか?」
「あぁ。あの親馬鹿中佐め…。今に見てろ、中佐の前で大佐とイチャイチャしてるところを見せつけてやる!」
「ブレダ少尉、それは僕の役目です。」
それよりも、ブレダ少尉に言われたこと、前に誰かに言われたような…………あ、ファルマン准尉に言われたんだっけ。
僕は体を起こす。
すると、アームストロング小佐が僕の目の前にリンゴ――――小佐の上半身型に切られたもの――――を差し出した。
「さぁ、フュリー曹長、ブレダ少尉リンゴを食べなさい。この時期は甘くて美味しいぞ。」
『すみません、普通の形に切ってください。』
「ぬぅっお二人にはアームストロング家に代々伝わるリンゴ剥き術の素晴らしさがわからぬか
…分かりたくないです。
すると、ガチャ、という音と共に、人が入ってきた――――って、何で小佐を足蹴りするんですか
しかも、あの小佐が横方向三メートル位ぶっ飛んだ
「ぬおぉ何をなさいますか姉上
黒いコートを翻し、姉上――――もとい、オリヴィエ少将が仁王立ちしていた。手には白い花を持っている。…アームストロング小佐を足蹴できる人も、この人だけだろう。
「たまたまここらを歩いていたら、アームストロング家の様な扉を見つけて入ってみたら…なんだ貴様か。」
「人を足蹴しておいてその言い方はなんですか
「こんな蹴りでぶっ飛ぶとは、鍛え方が足りんのだ
アームストロング家の人に並みの人はいない、とファルマン准尉が言ってたっけ。
すると、オリヴィエ少将が、僕達に気がついた。
「ん?貴様らはマスタングの所の眼鏡とメタボ。」
「ケイン・フュリー、階級は曹長です
「ハイマンス・ブレダ、階級は少尉です
「あぁ。そんな名前だったな。」
北と東で合同演習やった時に会ってるのに…
「そんなことより、マスタングは何処だ?指令部室に誰もいなかったぞ。」
あー、この人も大佐狙いだったー。めんどくさーい。
「(ブラックフュリー降臨…)あー、なんだ、その花束、大佐宛てですか。」
ブレダ少尉がオリヴィエ少将に尋ねる。すると、途端に少将は顔を耳まで真っ赤に染めた。
「やっ…ち、違うぞこれはマスタングにプレゼントするとかそういうんじゃなくて…その…えっと…指令部室にはいろんな意味で華が無いから、くれてやろうとべ、別にマスタングに会う理由作りに使った訳じゃないからな
わかりました大佐に会う理由作りに使ったんですね。
…可愛いなぁ。
「…あの…その花で良いんですか?」
ブレダ少尉がオリヴィエ少将の持っている白い花束を指差す。
「なにかいけないのか?」



「確か、ファルマンが言ってましたが、その花――――トルケスタニカの花言葉は『失恋』ですよ?」



「あの糸目絞めてくる。」
『わ――――駄目です
僕達が少将を止めにかかったその瞬間。
入り口から大佐を肩に担いだハボック少尉がやってきた。
「お、フュリーにブレダ、意識が戻ったか良かったぁ…。」
はい、心配してくれるのはありがとうございます。
しかし、大佐を肩に担いで何をしようとしているのですか少尉――――


→初(多分)フュリーさん視点。
梅林さんに続く

前へ|次へ

日記を書き直す
この日記を削除

[戻る]



©フォレストページ