頂き物

□語り手は元気いっぱい、聞き手は披露困憊
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「―――やっぱり、綺麗で強い女性は素敵だと思いますっ!!」


朝からこんな台詞を俺の席の隣で熱弁しているのは、色ボケ・・・じゃない、ブロッシュ軍曹だ。
いや、間違ってもないな。しかし、何で俺はこういう役回りが多いんだよ。
どうもロス少尉にくっついて来たらしいが・・・何で俺の所でわざわざ話を始めるんだ。

「そう思いませんか、ブレダ少尉!?」
「何でそこで俺に振るんだよ。金髪からそういう話は耳にタコが出来るくらい聞いてるんだ」
「じゃあ、是非俺の話も聞いて下さい」
「・・・そこで「じゃあ」になる意味を説明しろ」
「ロス少尉って、とっても綺麗じゃないですか!」
「おい、始めるなよ!何でそんな生き生きしてるんだよ」
「もうそれで強くって・・・もう完璧な女の人だと思いませんか!?」
「完璧ねえ・・・」
「けど、時折見せる可愛らしい所とかが本当に素敵で!」

確かに、ホークアイ中尉を見ていると理解出来る節もある。
綺麗で強いけど、たまに笑ってる所とか見るとあんまり見ないだけにたまに笑ったりするとおおー、と思うからな。

「―――それ、凄ぇ分かる!!」
「!?」

突如として沸きやがったハボが、急に話に割り込んできた。

「どっから出やがったお前!」
「こういう話を俺を差し置いてするなんて水臭いぜ、ブレダ!」
「違うっつーの!勝手にこいつが喋ってただけだ!」
「軍曹、それ俺もよーっく分かる!」
「分かって頂けますか、ハボック少尉!」
「分かるぜ、俺の恋人もそうだからな!しかも軍人!」
「そうだったんですか!?」
「そう、だから余計に分かるんだよ」

軍曹、相手に軍人ていう共通点はあるけど、多分根本的な所が共通してない。具体的に言うと性別が!!
けどそこは突っ込めねぇから、金髪2人に呆れた視線を送る事しか出来ない。

「いつもの口調で切り替えしてきても、ちょっとだけ赤くなってたりとか良くないですか!?」
「そうそう、普段から可愛いけど、そういう2人になると見せる顔が可愛いとか!」
「ちょっとだけ甘えてくれる所とか!」
「照れてる時の仕草とか!」
「俺だけのお姫様って感じですよね!」
「そうなんだよ、もう姫抱っこしてやりたい!」

誰か止めろこのアホ2人!!駄目じゃねえか、いつもの二乗じゃねえかオイ!!
大体、軍曹お前分かってるのか!?どんな想像してるのか知らねえが、こいつの話の相手ファルマンだぞ!?
姫=ファルマンだぞ!?けど話に入れる気もしないし入りたくもねえから、しばらくそのまま放置して仕事をしようかとペンを持った。
10分ほど経った頃になって、延々と続くかと思われた会話が切れて急に2人ががっしりと握手をした。

「お前とは気が合いそうだ!」
「俺もですっ!!」
「相乗効果でやかましいから合うなよ!」
「―――失礼します。ブロッシュ軍曹、行くわよ」
「はい、ロス少尉ッ!」

その時、軽いノック音と共にロス少尉が入ってきた。呼ばれて掛けていく軍曹に尻尾が生えてるように見える。
そしてその尻尾が全力で振られているように見える・・・俺疲れてるな。
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