パロ小説

□清泉新心2
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あれから数日が経過した。

私の会社はここ数日、多忙なためになかなかリザに会えないでいる。

「はぁ…」

昼食の時間も満足には取れず、部下が電話やら何やらで忙しく混乱している最中、一人社長椅子に寄りかかりながら朝に買ったパンを頬張る。

…美味しくない。

どの飯の味もあの時リザと食べた味と比べてしまうようになってしまった。

―――重症だ

今の心境として、リザに会いたい。

そして、ギュッと抱きしめたい。


「あれぇ、社長…また昼食こんなもん食べてるんっスか?」

一番、この社内でふしだらなハボックが声を掛けてきた。

「うるさい…それより、勤務中にタバコを吸うな」

「は〜い」


加えていたタバコを慣れた手つきで携帯吸殻にしまうと、先ほどから持っていた書類を渡してきた。

「これ、今日中なんで」

「はぁ?この書類は明後日までだろ?」

「知りませんよ〜今日いきなり電話で言ってきたんっスから」

ハボックはそういい残す
と、再び自分のデスクへと戻っていった。


「はぁ〜」


ため息をひとつ零し、その書類に取り掛かった。

「つ…疲れた」


書類の量は膨大で、なおかつそれに、臨時の来客の対応に追われた。

今は…何時なのだろう?

疲れ切って腹も減りはしない。

…深夜か?

と、思いつつ帰宅の準備を始めた。
社員らは、しっかりと自分の仕事を終えて帰路についた後らしい。


そんな執務室を横目で見ながら、静かに電気のスイッチを消した。


暗い社内を出て、冷たい夜風に当たった。
あたりは薄暗く、人一人歩いていない。

ココから家までは来るまで五分ほど。

…はぁ

本日何度目か分からないため息が出て、体の奥底からつかれきっているらしい。

最近ろくな食事も取らずに、深夜まで仕事をしているからなのだろうか…。


そんなことを考えながら、駐車場にとめてある車に乗った。



今日は本当に薄暗く、普段ついている街灯も、ところどころ消えている。

しばらくすると、我が家が見えてくるのだが、その我が家の玄関先で誰かが座っているのが見えた。


…ハボックか?

あながち、残った書類がありました〜とかいってハボックが私の家に潜んでいたことは数え切れないほどあったので気にも留めなかった。



キュッキュ


車をひとまず道路側にとめ、降りた。

「おい、ハボック…書類ならもう…」


思考が停止した。



確かにそこにいるのは金髪の人間で

色白風な人なのだが…


「リザ!!!!!!!!!!」


身に覚えのある、ロングヘアーを普段とは違い下ろしていて、寒そうにマフラーをグルグルと巻いていた。


「お帰りがずいぶんと遅いようで」

「…、な…なんでココに?もしかしてずっとココで??」

手が冷えきっているようで赤くなっている。

「待っていました、」

「ま…待ってった??…もしかして…私に会いに??」


少し期待を含ませて、下を向いているリザに問いかけてみた。

「…この前、バレッタを忘れたので取りにきただけです」


…。



「それだけ?」

「えぇ」


と、私の期待を大きく裏切った答えを出してきたリザに少しショックを受けながら、家の鍵を取り出して冷え切ったリザの手のひらに渡した。

「取ってきなさい」

「…」

なかなか動かないリザ。

「どうした?」

「あの…疲れてます?」

「…まぁ」

伺うように私の顔色を伺ってきたリザんぽ顔がなぜかゆがんで見える。



視界が―…

遠のいて……






バタン!!!!


「マスタングさん!!!!!!」
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