小説1

□戯れ
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「ニャア〜」

……、

家に猫が来た。
めちゃくちゃ可愛い。
金髪のロングでピンっと耳を伸ばしている。目はクリクリの深い茶色で、…。


殆ど人間の体格だ。


ちょっと違うのは、猫耳と爪が伸びたのと…人語をなかなか話さない、というくらいだ。

中身は幼いみたい。

と、まぁ…大体予測は出来たかい?諸君。

私(ロイ マスタング 29歳)の前に居る可愛いこの猫は私の部下に当る中尉だ。

何故か錬成事故が起こり、このような姿になってしまった。

「ニャン…ニャ」

「あぁ…ミルクかい?」

私の膝をチロチロと舌で舐めてミルクを催促する。
勿論、中尉を緊急に預かっているだけなのでワイシャツ一枚といういやらしい恰好でいる。

そんな誘惑に負けないように、中尉を置いて私は身体を元に戻せるように研究書を読みあさっている。

「大佐ァ…、」

「どうした?」

ミルクを入れたカップを中尉に渡したが、受け取らずに私のワイシャツを掴んでいる。

「……、」

「そんなに強く押さえつけたら皺になるからやめなさい」

中尉の手を掴み、離そうとした時だった。

「大佐のミルク…ちょうだい?」

「…!!!!!!!!」


な、何か卑猥な言葉が聞こえたぞ!?

幻聴だ、可愛い中尉の口から……まさか。

「大佐、……」


――…!?

気付いたら、仄かに顔を赤らめて……。
私の危ない所に手を添えている中尉。

「まッ…!!、」

「…、ぃや?」

キラキラに輝いた粒らな瞳を私に向けている。
普段の中尉からはありえない展開に私の心臓もありえない程に脈うっている。


どうしたものか――…

「大佐…、お願いッ」

「ぃや…なぁ、…そんな事言っても後悔するのは君なんだよ?」

「……ニャッ」

聞く耳を持つ気はないのか…耳を手でかいている。

「…元に戻って怒られるのはこっちだしなぁ」

脳裏に拳銃を持って私を威嚇する中尉の形相があまりにも恐ろしく、堪ったもんじゃない。

「…後悔…しない?」

恐る恐る中尉の顔を覗き込んだ。


チュッ

「/////っあ゛!!!!」

な…なななな!!!!!

今、何か温かいものが私の唇に触れた!!
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