小説1

□恋人
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正直な所、恋人は良いなぁっと思う…。

笑いあえる人がすぐ傍にいるようなものでしょ?






「中尉は付き合ったこととかないのか」

唐突だった。

今は仕事中なのに、ふらふらとペンをいじってた上司のマスタング大佐がいきなり変な話しをもちかけたのだ。

「…貴方が知っている通り、父とずっと一緒でしたよ」

「だよな…、私が君を見た時はまだ幼かったし」

と、また大佐はペンをふらふらといじり始めてた。

「なにか…あったのですか」

「いや…なんでも」



なんなんだ、この男は…。仕事中の話だから重要なのかと思えばただの会話か。

「大佐、用事がないのでしたら目の前の書類終わらしてください」

と、私は大佐の目の前にわざと山積みにした資料を数枚にわけて、置きなおした。

「…中尉は恋人作らないのか?」

「作る気がないですから」


大佐は数枚にわけてもらった資料を片手に、リザの腕を引き寄せた。

「…っちょ、大佐!!」

「私は…君だったら万歳なのになぁ」



なっ!!!!!!!!!!


ついにアホになったのか!?

「馬鹿言わないで仕事してください」



「はぁ……馬鹿な事かい」

ぎしッ

大佐は乗り出していた身体を元に戻した。

「…何かあったんですか?」

「……君の悪口を聞いた」

「…悪口?…そんな根も葉もない噂を信じないで下さい」


…悪口なんて。
そんなこと何処でも言っているのを聞いてる。
たまには酷い噂もあったりで…でも、そんなことありえなすぎて噂でも回らないと思ったけど。

…信じたのかしら、?


「……根も葉もなくても、君に恋沙汰がないのは私が束縛しているからかなぁ…っと思ったんだよ」

「……その通りですよ」


「狽ヲ…束縛し過ぎたか?」


「……束縛とかそんなのではなくて、只…お守りが大変だからです」




一瞬、大佐の顔がキリッとしていたのに、ぽかんっと口を開けて砕けてしまった。


「お守り…か、」

「えぇ、…あなたのお守りは大変ですから」


「…大変、?」

「ですから大佐、私は今の間恋人は要りませんし…、ご自分のせいになさらないで下さい」


「……は、ぁあ 」


大佐は何か言いたかったみたいだが、そのまま机にへばりつくように仕事を始めた。




こんな大佐を見ていたら…恋人なんていらないって思うのです。
私は大佐が私のコトを思って行動して頂いただけでも凄く嬉しいんです。



だから今は恋人はいらないかな…

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