過去拍手お礼SS
□プールサイドの女神
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拍手お礼SS第四弾☆
「プールサイドの女神」 〜前編〜
・・・・・・・・・・・
「プール・・・ですか?」
「はい。次の日曜日、予定が空いていたらどうでしょう?ええと・・・デート、のつもりなんですが」
今まで若王子からの誘いを断ったことは一度も無い。
こちらから誘えない立場だから、むしろ待ちかねていたデートのお誘いなのだけれど・・・
「・・・プールって、若王子先生泳げないですよね?まさか、またいつかの海の時みたいにお掃除とか言うんじゃ・・・」
ちらり、と疑いの眼差しで見てみる。
「やや、さすがに察しがいいですね・・・
はい、実はお世話になっている方の別荘にプールがあるんですが、そこのお掃除をお願いされまして。あ、学校のプールみたいに大きくは無いので、そんなに大変じゃないとは思うんですけど・・・駄目ですか?」
申し訳無さそうに肩をすぼめる若王子。180の長身が、小さく見えてなんだか可愛らしい。
そんな顔でお願いされたら、断れるはずは無い。
「駄目じゃないですよ。
わかりました!日曜日ですね」
ニッコリ笑って承諾する。
(・・・ホントはお願いされなくても、若王子先生と一緒ならお掃除だって嬉しいんだけど・・・)
そんな事を考えていたら。
「あ、そうそう。お掃除が終わったらプールは自由に使って良いそうです。水着、忘れないでくださいね?」
そう言って、若王子はニッコリと微笑んだ。
・・・・・・・・・・・・
日曜日。
プールはさほど大きくは無かったので、二人という少人数でも掃除は滞りなく2時間ほどで終了した。
「はあ、意外と早く終わりましたね・・・Tシャツがビショビショです。はじめから水着に着替えたほうが良かったかな?」
「いえっ、そんな!汚れても良い服だったから・・・」
若王子の言葉ももっともなのだけれど、水の無いところで水着を着たまま動き回るのはなんだか恥ずかしい。
しかも今日準備したのは、露出の多い白いビキニだったから尚更だった。
「うん、手伝ってくれてありがとう。先生一人ではとても終わりませんでした。・・・さあ、これからは遊ぶ時間です。先生がプールに水を張っている間に、着替えちゃいましょう」
そう言って、若王子は更衣室の場所を教えると、
「水着姿、楽しみにしていますよ」
とウインクをして一人プールの方へ戻って行った。
・・・・・・・・・
更衣室の中で着替えを終えて、自分の姿を鏡に映してみる。
「このビキニ・・・若王子先生気に入ってくれるかな?」
白いエレガントなビキニは若王子の為に選んだとっておき。
実際に着てみると露出が多くて少し恥ずかしいけれど、
(こんなことで恥ずかしがっていたら、大人の若王子先生につりあう女性にはなれないもん!)
そう自分に言い聞かせて、思い切ってプールサイドへ歩いていった。
しかし、プールサイドに若王子の姿は無い。どうやら若王子は水を出してから自分も更衣室に向かったらしい。
「・・・もう・・・せっかく勇気出したのにな」
そう呟くと、傍にあったロングチェアに腰掛ける。
大きなパラソルの下にあるそのチェアは、まるで自分がセレブになったような気分にさせてくれた。
「・・・なんだか眠くなっちゃった・・・」
太陽の日差しに心地よい風。
掃除の疲れも重なって、そのままゆっくりと目を閉じた。