過去拍手お礼SS
□水しぶきの悪戯
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拍手お礼SS第三弾☆
「水しぶきの悪戯」
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今日は若王子とデート。
誘いの電話で
「海に行きましょう」
と言われたから、この日のために水着も新調した。
若王子好みのエレガントなショップで購入したビキニ・・・少し露出が多い気もするけれど、自分よりも大人の若王子に少しでも近づきたくて。
洋服も、海の青に映える夏らしい白のワンピース。
そこに、誕生日プレゼントに若王子からもらった、シルバーのメダイユを着けて・・・
「・・・うん、完璧っ!」
と思っていたら。
「やや、海とは言っても泳ぎません。クルーザーです」
「クルーザー!?」
デート当日に若王子に連れて行かれたのは、豪華なクルーザーの上。
(ま、まさかこのクルーザー、若王子先生の・・・??)
「このクルーザーは先生がお世話になっている方のものです。先生のものじゃありませんよ」
はい、どうぞ、と言って手渡されたのは、柄の長いデッキブラシ。
「クルーザーって・・・若王子先生のうそつき!」
「ははは、うそじゃない。ほら、君は今クルーザーに乗ってる!」
ホースでデッキを流しながら、子供のようにはしゃぐ若王子。
夏の日差しに、水しぶきがキラキラと輝いて美しい。
・・・せっかく買った水着は無駄になっちゃったけれど。
本当は、若王子先生と一緒に居られるのならどこだっていいの。
「・・・ええい、せっかくだから楽しんじゃえっ!」
持っていたデッキブラシで床の水を若王子のほうへ押しやると、
跳ね上げられた水が小さくしぶきをあげて若王子の服を濡らした。
「あ、やりましたね?!先生も、お返しです!」
ホースを持っていた若王子は、ホースの口の部分を指で軽くつぶして水を噴射させた。
「きゃあっ!
・・・もうっ、先生ったらっ!」
いつの間にか二人とも夢中になり、だんだんエスカレートしていく。
服が濡れるのも気にせずに、お互いに水を掛け合った。
「ははは、こういうのもなかなか楽しいでしょう?
・・・ややっ!!」
突然、ホースを持っていた若王子の手が止まった。
「・・・どうしたんですか?若王子先生?」
「・・・ピンクです、困りました・・・君の姿、先生には刺激的すぎます」
目のやり場に困るようで、若王子は手で目を覆うゼスチャーをして見せた。
「・・・ピンク?」
何のことだろう、と思って自分の体を見てみると・・・
「ああ〜〜っ!!」
白いワンピースが水に濡れて、下に着けているピンク色の下着が、クッキリと浮かび上がっている。
体から生地を離そうと思っても、しっかり濡れたワンピースはそう簡単には剥がれなかった。
「や、やだあ・・・」
自分のあられもない姿に、思わず顔が赤くなる。
「ごめんなさい、僕がはしゃいでしまったから・・・何か他に、着替えるものは無い?乾かす間だけでも」
懸命に目を逸らしているフリをしながらも、ついつい目が泳いでしまうようだ。
「あ・・・そういえば、わたし水着持って来てました」
腕で体を隠しながらも、新調してきた水着の事を思い出す。
その水着も露出が多いのだけれど、
とりあえず服を乾かさなければならないのでその間だけでも着替えることにした。
「先生、着替え終わりました・・・」
「では、服はこちらへ・・・
・・・ややっ!!」
水色の新作ビキニ。
パレオはついているけれど、上半身の布地はきわめて小さい。
「あの・・・先生?この水着、どうでしょうか?」
おそるおそる聞いてみる。
と同時に、若王子が自分の着ていたポロシャツを脱いで、渡してきた。
「服が乾くまで、・・・これ、上から着ていて下さい」
「えっ・・・?」
見ていたくないほど、
そんなにこのビキニが似合わなかったのか?
・・・自分には、まだこの水着は早すぎたのかな・・・
そう思い、思わず暗い表情になったところに、見透かしたように若王子が声を掛けた。
「・・・勘違いしないでください、その水着はとても君に似合っています。
かなり魅力的だ。
・・・僕の理性がおかしくなりそうなくらいに」
はは、と困ったような笑みを浮かべて、顔を赤くする若王子。
「せんせい・・・」
つられて顔を赤く染めながらも、渡されたポロシャツを着てみる。
大き目のそのポロシャツは、若王子のにおいと、太陽のにおいがした。
「あ、言い忘れました。
・・・先生、ピンク色、大好きです」
・・・?
若王子のその言葉に、自分のさっきの水浸しの姿を思い出す。
「もうっ、若王子せんせいったら!!」
クルーザーの手すりではハンガーに掛けられた白いワンピースが、夏の日差しと海風に、はたはたとはためいていた。
おしまい☆