小説
□聖なる夜に
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クリスマスイヴ。
昼間は街中をぶらぶらして、夜は少しフンパツして高級レストランで中尉と食事をし、その後私の家に行き今は雑談をしている。
「今日は本当にありがとうございました。その……高かったでしょう?」
心配そうな目を私に向ける中尉。
本当に律儀だなと内心苦笑しつつ、気にするなと首を横に振った。
「シャワーでも浴びてきたらどうだ?」
夜もだいぶ更け、午後10時を過ぎている。
明日は二人とも早番なので、あまり夜更かしはできない。
「大佐がお先にお入りください」
今日一日気を遣っていただいたのですからと、中尉は私の申し出を断った。
心底申し訳なさそうな顔をする彼女は、私が何を言おうと先にシャワーを浴びる気はないのだろう。
「わかった。それじゃあ先にシャワーを浴びてくるよ」
立ち上がり、ソファーに座っている中尉の頬にキスをする。
それだけで顔を真っ赤にする彼女は本当に可愛い。
「いい子にしてろよ」
「早く行ってください」
頬を真っ赤にしたまま睨まれてもちっとも怖くないぞ?
そう思いながらくすくす笑うと、はいはいと適当に返事をしてバスルームへと向かった。