小説
□君のために
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昨日は深夜までかかって、飾り付けの準備をした。
男だけで作ったにしては、なかなかの出来だと思う。
後は、中尉が出勤するのを待つだけだ。
「中尉、喜んでくれますかね?」
そわそわしながら、フュリー曹長は何度も時計に目をやっている。
「喜んでくれるだろ」
椅子にふんぞり返えりながらブレダ少尉は言った。
「……おまえはもう少し緊張感を持て」
緊張し過ぎるのも問題だが、しなさ過ぎるのもあれだな……。
「大佐!中尉が来ましたよ!」
なんとなく不安にかられていると、息を切らしたハボックが勢いよく執務室に入ってきた。
「みんなクラッカーは持ったか?」
扉の前に一列に並び、中尉が到着するのを待つ。
「お。来たぞ」
ガチャっとドアノブがまわり、緊張が最高潮に達した。