小説2

□Good night
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ふぅとため息を漏らしながらリビングに入ると、軍服のままのロイが私が用意しておいた食事を温め、それをソファーの前にある机に並べて食べているところだった。








私はすみませんと謝りながら小走りで近づくと、ロイはいや、いいんだと最後のからあげを口に放り込みながら笑った。









「エルを寝かし付けていたんだろう?」







口の中のものをごくんと飲み込み、美味しかったと微笑むロイに、私は黙って頷いた。








時計を見るとすでに午前0時を回っている。







私やロイは3時間も睡眠がとれれば十分な身体になっていた。











「今日も寝ないって言い張ったんだろう?」








苦笑しながら、でも目はものすごく心配そうにロイはそう尋ねた。












エルが寝たくないと言い出した初めの2日間は、私達も『たまにはいいか』と思っていただけだった。








だけどそれが3日目になり、4日目を過ぎるとおかしいと感じ出し理由を尋ねたが何かを隠しているかのように頑なに話そうとしてくれない。








このままではエルの体調が心配なのでお昼寝をさせようとしたりしているのだが、本当に限界まで寝ようとしないのだ。










「ええ…。さっきようやく寝てくれたんです」







ロイの問い掛けに答えると、私は今日何度目かのため息を吐いた。












正直、疲れていた。








寝ようとしないエルに対して理由もわからないのに頭ごなしに怒るわけにもいかないし、でもエルはなかなか寝ようとしてくれないし……。








いくら考えてもどうしていいのかわからず、精神的な疲労が溜りに溜まっていた。










「どうしたらいいんでしょう……」








悩みがあるのなら打ち明けてほしい。








そんなにママとパパは頼りないの?








色んな考えが頭をグルグルと駆け巡り、私は疲れてロイの肩にぽすっと頭を乗せ呟いた。









「しっかりエルと話さないとな……」








ロイは私の頭を撫でながら、囁くようにそう言った。








ロイも疲れているのだろう。







エルが心配なのは、彼も同じなのだから。








それでもそんな素振りも見せず、私を労ってくれる。








「……はい」







短い返事だけをすると私はもう少しだけと、彼の背中に手を回しぎゅっと軍服を握り締めた。
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