小説

□彼女の背中
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「ん……」





不意に目が覚めて寝返りをうつと、手に何かサラサラとしたものが触れた。







重い瞼を何度か瞬いて目を開くと、指に金色の髪が絡まっている。








(ああ、そうか……)






そういえば昨晩身体を重ねたのだと思い出し、今何時かと仰け反るように少しだけ上半身を起こした。








時計の長い針は『2』を指し、短い針は『4』指している。









(二時間ばかり寝ただけか……)







時間を確認すると、彼女を起こさないようにゆっくりと顎を枕に乗せた。








そのまま頭だけを横に向けると、彼女の引き締まった白い背中が少しだけ布団から覗いている。







絹のように滑らかな彼女の肌に、そっと指先を滑らせた。








つーっとなぞると、私の手で焼いた火傷の痕に指が引っ掛かる。









(消えないだろうか……)






そう思い傷痕に唇を寄せ、そっとキスをした。








やはり傷痕が消えるわけがなかったが。














「ん……」






しばらく背中を眺めていると、彼女がころんとこちらに寝返りをうった。








目が覚めたのかと思ったが、彼女の口からは規則正しい呼吸が聞こえてくるので起きたわけではなさそうだ。








ほんの少し開いた唇は桃のような淡いピンク色で、触ると跳ね返りそうなぐらい弾力のある形のいい唇。








思わず口付けをしようとしたが、起こしては悪いので何とか堪える。








その代わり顎のラインに沿って流れる美しい髪を手に取り、お姫さまの手の甲にキスをするように唇をつけた。








髪から漂う甘い香りを鼻腔で楽しむと、手を離し身体も彼女の方に向けた。











普段は凜として近づきがたい表情をしているが、寝顔は少女のように愛らしい。







無邪気に眠る彼女からは『鷹の眼』と周囲から恐れられているなど全くわからない。









彼女を知らない者ならば、ただのか弱い女性とだと思うだろう。













(私でよかったのだろうか……)







彼女の寝顔を見つめていると、不意にそんなことを思った。










恋人であると同時に、私達は『上司』と『部下』であり、常にお互いの背中を合わせ共に戦い命の危険に晒されている。









一人の『女性』として守ってやれないことに、彼女は不満を抱いていないのだろうか。









完全に『軍人』の皮を剥いで付き合えることなどありはしない。









身体を重ね彼女の背中にある私達の『罪の証』を見るたびに、あの惨劇を思い出さずにはいられないのだ。








きっと他の男ならば、『気にしない』と笑ってくれるのだろうが。










だが、彼女が他の男に抱かれるところなど見たくもないし私には耐えられない。







私でよかったのだろうかと考えたところで、私は彼女を手放すことなど出来ないのだ。









たとえ彼女が完全に『女』として生きることを望んでも、私は叶えられない。








だからと言って他の男に託すことも出来ない。










無意味なことばかり考えている自分に嫌気がさし、小さくため息を吐いた。









「すまないリザ……」







そう呟いて彼女の頬に掌を添えた。







柔らかくてほんのり温かい。











『女』として守れないならば、『部下』として君を守るから。








全てを忘れることなど出来ないが、君の痛みは半分私が背負うから。










だから









だからどうかこのまま私の傍にいてくれ。











必要なんだ。









『部下』としても『恋人』としても。









(本当に女々しい男だな、私は……)








こんなことを考えてしまったのは夜だからだろうか?







これ以上悲観的になりたくなくて、静かに目を閉じる。












そして布団の中で、ぎゅっと彼女の手を握り締めた。
























目が覚めても彼女が隣にいるように……。





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暗い!

女々しい!


なんか書かなきゃなーと、衝動的に一時間程で書いた作品でした。


相変わらずぐだぐだしてて、読み返したら軽くイラっとしましたが(笑)、書き直すのもめんどくさいのでそのまま更新しました(;^_^A



その前に裏を書け!と思った人ごめんなさいε=┏( ・_・)┛

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