小説2

□小さな命
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長かった冬も終わりに近づき、今日は久しぶりにぽかぽか陽気。








ハヤテ号は日当たりの良い庭のベンチに寝そべり、気持ち良さそうに眠っている。







ロイとエルはというと、ボール投げをして遊んでいる。








ハヤテ号の隣に座っている私は、微笑みながらそんな二人を眺めていた。










「あ」







ロイが少し力を入れ過ぎたのか、ボールがエルの横を通り過ぎてコロコロと転がっていく。








ロイがすまんと謝ると、エルはあららーと呑気な声を上げながらトテトテとボールを追いかけていった。















「ボールあったー?」








ボールを探しているのか、しゃがみこんでいるエル。







でもそれにしては戻ってくるのが遅く、ベンチから降りてエルの方へ歩み寄った。









「まだ見つからないのか?」







私の後ろに付いてきていたロイがエルの小さな背中に声をかけると、エルは何かボールではないものを持ち上げ振り向いた。








視線を腕の中へ向けると、そこには毛がフサフサとした小さな可愛らしい生き物が。

















「ネコ?」








ミーとか細く鳴く子猫。








弱っているのか、エルの腕の中で力なく鳴いている。







「ネコさん元気ないです……」







まるで自分が弱っているかのように元気なくエルは呟いた。








まだ生まれて数か月であろう子猫は、こんな暖かい日だというのにプルプルと震えている。











「とりあえず家の中に入りましょう」








すぐそばに落ちていたボールを拾い上げると、心配そうに子猫を見つめているエルに声をかけた。








エルは顔を上げこくんと頷くと、子猫を大事そうに抱きながら玄関へと向かった。
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