小説2

□朝の出来事
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「ほら、大丈夫でしょ?」




朝6時半。





仕事に行くため顔を洗ってリビングに入ると、相変わらず早起きのリザと小さな女の子が朝っぱらから何かしている。








(ああ、そうか……)





私達は昨日から親になったんだ。







おはようと声をかけると、しゃがんでいたリザは立ち上がりおはようございますと頭を下げた。







同じようにエルもおはようございますとぺこりと可愛らしくお辞儀をした。







そんな愛らしい妻と娘の頬に軽く口付けをすると、エルの小さな身体を抱き上げる。







「そういえば、朝から何をしていたんだ?」





リビングに入ったとき、二人はしゃがみ込んで何かをしていた。






私の姿に気付くとやめてしまったので、何をしていたのかまったくわからなかったのだ。







「エルがハヤテ号を怖がるから、大丈夫だって言っていたんです」





足元に目をやると、いつの間にかハヤテ号が私の足に擦り寄っていた。






ワン!っと吠えると、エルの肩がびくっと揺れる。






「何もしないから怖くないぞ?」





きゅっと私の首に腕を回すエルの背中をぽんぽんと叩きながら、しゃがんでハヤテ号の頭を撫でてやった。






ハヤテ号はくぅーんと鼻を鳴らして気持ち良さそうにしている。







「ほら、エルにも撫でてほしいって」





同じようにハヤテ号を撫でていたリザが、不安げに私にしがみついているエルの茶色の瞳を覗き込んだ。







エルは小さく頷くと、ゆっくり私から降りてハヤテ号をじっと見つめる。







左手は私の服をぎゅっと掴んで離さない。







「クゥーン」




見つめるだけで触れようとしないエルに、ハヤテ号は少し近づいた。






エルを怖がらせないようにハヤテ号なりに気を遣っているのか、そのまま床にちょこんとおすわりをしておとなしくしている。







「大丈夫」




固まったように動かない娘の頬を撫でてやると、少しだけ身体の力が抜けてきたようだ。






戸惑いながらも腕をハヤテ号に伸ばし、何度か引っ込めようとしたがぐっと堪えてぽんっと小さな手でハヤテ号に触れた。







「ほら、大丈夫でしょ?」




一度触れたら平気なのか、そのままわしゃわしゃハヤテ号の頭を撫でるエル。







ハヤテ号も嬉しそうに尻尾をパタパタ振っている。







「フサフサしてます」




さっきまでの泣きそうな表情は消え、にこっと笑いエルは言った。






その笑顔があまりに愛しくて、またエルの柔らかい頬にキスをする。








「そろそろご飯にしましょうか」




私と同じように微笑んでいたリザが、よいしょと立ち上がりエルの頭をぽんと撫でた。







時計を見るともう7時前だ。






「お手伝いします」




パタパタと小走りで、エルはキッチンへと向かうリザの背中を追いかけた。








「…家族が増えるのはいいものだな」





エルの小さな背中を見つめながら、足元に座っているハヤテ号に声をかけた。








リザを独り占め出来なくなったのは残念だが、大切な人が増えるのも悪くないな。







「早く来ないと冷めちゃいますよ」






「今行くよ」







先に食卓についた二人に急かされながら、今日は真面目に仕事をするかと当てにならない決意を抱いてみた。





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うん、エルちゃん口数少ないな!(苦笑)


いや、本当はもっとお喋りする子ですよ!

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