奇跡〜冬に舞う桜〜

□第9話
3ページ/7ページ





ほら。と俺は、店長の後ろを指差した。




「素直じゃなくて悪かったな」

「うわっ、いつの間に来たんお前?」

「よー。久しぶりー」




店長の後ろから顔を覗かせ、そいつは俺に軽く頭を下げた。

ドリアを食べていた平助は、色素の薄いそいつの髪や瞳を物珍しそうに眺めている。



「なんや、今日は学校あったんか?」

「あぁ。…シチュー食いたくなった。リンは明太子パスタでいいってよ」

「へぇへぇ、わかりました。じゃぁ、オレは厨房戻るわ」



ゆっくり食べや〜。と平助に手を振り、店長は休憩室を出ていった。

再び2人になった休憩室で、俺も和風パスタを食べ始める。



「さっきの人、誰なんだ?見谷さんの弟?」

「いーや。鷹都コロっつって、店長と同じマンションに住んでんだ」

「へぇ〜。変わった名前だな」

「日本人とイタリア人のハーフなんだよ、アイツ」



ハーフ…?と首を傾げる平助に、日本人とイタリア人の間に生まれた子供だと教えてやる。



「智弥とも友達なのか?」

「友達っつーか、先輩後輩の関係だな」



エスカレーター式の鷹山学院で俺が高等部の時、中等部のコロと知り合った。

附属の大学に通う今も、たまに高等部に通うコロに会ったりもする。



「ま、お前と歳も近いことだし、またどっかで会ったら声でもかけてやりな?見た目と違って案外良い奴だし」



俺の言葉に、平助はスプーンを口にくわえたまま力強く頷いた。




次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ