奇跡〜冬に舞う桜〜
□第7話
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「平助くん凄いね。女の人の着物の着付けもできるんだ」
「まぁな」
「結構女の人にこういうことしてたり?」
「なっ、んなことねぇって…」
経験がないわけじゃねぇけど、女の着替えを手伝うなんて柚樹が初めてだ。
そう出かかる言葉を飲み込み、帯紐でキュッと帯を締めて帯の形を整え、帯の飾りを後ろにつけた。
「よし、できたっ」
「ありがとう平助くんっ。さすが、本場の人は違うね」
「どういたしまして」
着物だー。と笑顔になってはしゃぐ柚樹が、いつもより子供に見えて、オレの顔に笑みが浮かんだ。
不意に部屋の障子が開き、着物を着て髪も結った遥架が中に入ってきた。
「あれ?平助もいたんだ。……まさかっ!柚相手に『お許しくださいお代官様〜!』をするつもり!?」
「ちげぇよっ!何だよソレ!」
「帯を引っ張ってクルクル〜ってするヤツ」
「んなことしねぇしっ!」
「ならいいけど。あ、今から柚の髪結わえるから、平助は退場」
「なんで?」
「女の子がおめかししてるとこを覗くもんじゃありません!」
「ワケわかんねぇよ」
シッシッと遥架に部屋から追い出され、オレは柚樹に軽く手を振ってから、部屋から出た。
とりあえず、みんなが集まっているだろう奥の部屋に行こうと、足をその方向へ向ける。
奥の部屋を開けると、やっぱりそこにはみんなが集まっていた。
「わぁっ!平助にーちゃんもおきものきてるー」
「にあってるねーっ」
「おー。ありがとなっ。お前らも似合ってんぞー」