奇跡〜冬に舞う桜〜

□第6話
1ページ/18ページ





───……ドタドタドタッ!!




「ん…?」



廊下を走る音が、寝起きのオレの鼓膜を震わせ、オレは耳を塞ぐように、布団の中に潜り込んだ。

多分、遥架あたりが廊下を走ってるんだろう。

その音は、段々とオレが寝ている部屋に近づいてきて、スパーンッと音をたてて、障子が開かれた。

そして…




ボスンッ




布団に潜ったオレの体に、小さな衝撃が走った。

最初は軽かったその何かが、衝撃とともに、段々重たくなっていく。

不思議に思ったオレは、被っていた布団を捲った。



『………』



布団を捲ると、たくさんの大きな瞳と目が合った。

…いや、決して怪談的な意味でなくてね、



「柚ねーちゃん、しらないにーちゃんがねてるー」

「そのお兄ちゃんが私の新しい家族だよ?ほら、みんな早く降りないと、お兄ちゃん潰れるよ」



柚樹の声に、オレの上に乗っていた数人の子供が、一斉にオレの上から降りた。

軽くなった体を起こして周りを見渡すと、開いた扉の近くに、2、3歳ほどの女の子を抱いた柚樹が立っていた。



「おはよう、平助くん」

「ぉ、おはよ…。この子らは…?」

「昨日話した私の親戚だよ。朝一番の船で帰ってきたんだって」

『はじめましてー』

「ぁ、初めまして…」




次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ