奇跡〜冬に舞う桜〜
□第4話
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―――……柊家は朝から賑やか。
…と、近所の人達からはよく言われている。
悪い意味じゃなくていい意味でね。
そんな普段から賑やかな柊家に、また新しく賑やかになる要因が増えた。
『藤堂平助』
クリスマスイブの夜に柊家の庭に…
落ちてきたんだろうなぁ、多分。
だって落ちてきた音が聞こえてたし。
柚曰く、『薄桜鬼の世界から転生してきた』らしいけど。
まぁ、なんやかんやで柊家に住むことになった青年(?)だ。
歳は柚と同い年かと思いきや、18歳。
歳の割に幼く見えるのが平助の特徴かな。
後、触ると気持ちいい前髪と。
江戸時代から現代に転生してきて、慣れるのに時間がかかるとふんでいたけど…
「遥架ぁっ。掃除機かけっからそこ避けてっ」
…この通り馴染んでます、現代に。
掃除機が妙に似合ってます、平助。
頭に巻いてる黄色いバンダナも似合ってます。
「はいよー。2階の窓ってまだだっけ?」
「今智弥が拭いてる。1階が終わったら来いってさ」
「りょーかい」
年の瀬も迫り、柊家はただいま大掃除中。
まだ29日だけど、明日は祖父母のいる島へと親戚達より一足先に帰って、島の家を大掃除することになっている。
ちっちゃいのがいっぱいいたら掃除どこじゃないしね。
「じゃ、1階の掃除がんばって〜。あたし2階の掃除もしてくっから」
「おぅ」
1階の窓は一通り拭き終え、次は2階。
ベランダに続く大きな窓と、プライベート用の部屋、そして、平助が来る前までみんなで寝ていた寝室がある。
プライベート用の部屋は、あたしと柚の2人で一部屋。
智が一部屋。
まぁ、平助が来たことで智と平助の2人で一部屋になるかな。
それと、今はここにいない母さんの部屋が一部屋。
その部屋の窓を全部拭かなくてはならない。
智大変だったろうな…。
「智〜。手伝いにきたよ〜」
「おー。ベランダの窓拭いてくれるか?内側と外側両方」
「スプレーある?」
「ん」