奇跡〜冬に舞う桜〜
□第15話
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───……高校の合格発表が終わった日から、柚樹が眠っている姿を、よく見かけるようになった。
オレがバイトから帰れば、ソファーに横になって眠っていることはしょっちゅうだし、
この前は、晩飯を作っている最中に眠っていた。
受験勉強に費やした睡眠時間を、きっと体が取り戻そうとしているんだろう。
ほら、今日もまた…。
「……気持ちよさそうだなぁ…」
洗濯物をたたんでいる最中だったのか、柚樹の周りには、たたまれた衣服が。
そして、目の前にある洗濯物の山に身を預け、窓から入る太陽の光を浴びながら、柚樹は眠っている。
ちなみに、今日は土曜日。
智弥も遥架も、それぞれバイトに行っている。
だから、家の中には、オレと柚樹の2人だけ。
オレはとりあえず、たたまれた洗濯物を先にタンスに戻した。
問題は、柚樹が身を預けている洗濯物の山を、どうするかだ。
たたむべきなんだろうが、そのために柚樹を起こすのは忍びない。
すぅすぅと寝息をもらす唇と、薄く隈が残る下目蓋を見れば、このまま寝かせておいてやりたい。
……でも、