奇跡〜冬に舞う桜〜
□第12話
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「───……んぅ〜………」
2月に入ってからの最初の休日のこと。
オレの目の前に敷かれた布団の中で、柚樹は下腹部を襲う痛みと格闘していた。
オレは布団の傍らに座り、痛みに耐える柚樹をただ見守ることしかできない。
柚樹が言うには、今日は月ものの日らしい。
いつもは薬で痛みを和らげているけど、今回は薬を切らしていて、痛みに耐えるしかないとのこと。
柚樹の眉間には皺が寄り、相当痛そうだ。
「平助くん、そんな心配しなくても大丈夫だよ…?」
「だって、ものすげぇ痛そうなんだもん…。ホントに大丈夫かよ…?」
「うん、大丈夫だよ…」
そう言ってオレに見せた笑顔も、どこか苦しげだった。
今日は朝から智弥も遥架も大学に行っているから、この家にはオレと柚樹の2人きり。
だから…
「オレに、なんかできることない?」
柚樹のために何かしてあげるのは、オレの役目だ。
「……こういう時って、すごく心細いの…」
「?うん、」
「だから…」
柚樹はオレの手に自分の手を重ね、傍にいてもらってもいい?と、控えめに尋ねた。
それにオレは力強く頷き、柚樹の手を握りしめた。