奇跡〜冬に舞う桜〜
□第10話
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───……冬休みが終わり、今日から私は学校が始まる。
今日は始業式だから、学校はお昼まで。
今は9時半、もうすぐで始業式が始まる。
「(平助くん、ちゃんと起きれたかな…)」
私が起きた時はまだ寝ていたけど、今日から働きに行くらしいし、今の時間帯なら既に起きているはず。
智兄あたりがちゃんと起こしてくれたにちがいない。
…それにしても、
「(朝から一言も話せてないなぁ…)」
私が起きるのは7時、平助くんが起きるのは大体9時。
話す時間なんて帰ってからしかないし、それまで平助くんの声を聞けないなんて…
「寂しいなぁ…」
「なーにがっ?」
肩越しに私を覗き込んできたのは、茅咲だった。
この冬休み中に伸びたのか、首筋までだった髪が肩の少し上辺りまで伸びている。
「そういえば柚樹ん家、1人増えたんでしょ?家族」
「!なんで知ってるの?」
「英さんから聞いた。遠い親戚なんだって?」
「ぁ…うん、まぁ…」
まさか新選組の藤堂平助くんですなんて、今言えるわけない。
今度改めて話そうと決め、とりあえず今は曖昧な返事を返しておいた。
「その人となんかあった?」
「朝から一言も話せてないから寂しいなぁ。って思って…。その人、起きるの9時くらいだから…」
智兄が働いている喫茶店で、今日から働くことになっていることも、茅咲に話す。
すると、茅咲は目を輝かせて身を乗り出してきた。
「じゃぁさ、帰りに行こっ?」
「?どこに」
「喫茶店『ひだまり』にっ」