奇跡〜冬に舞う桜〜

□第8話
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───……数日間の島での生活を終え、オレ達は家へと戻ってきた。

真人さんは正月休みが終わるまで、島でいるみたいだ。

一方里子さんは、明日から仕事が始まるらしく、一度家に戻ってきて準備をしている。



「よし、準備完了」

「今日にはもう発つの…?」



里子さんの準備を手伝っていた柚樹が、寂しそうな表情を浮かべて、里子さんを見上げる。

本音を言えば、もう少しいてほしいんだろうな…。

けど、誰かに迷惑をかけたがらない柚樹はその本音を胸の内に留めてしまう。

里子さんもそれをわかっているが、仕方のないことなのかもしれない。



「空港近くのホテルに部屋とってるってさっき連絡があったの」

「そっか…」

「…でも、明日の早朝に家を出れば十分間に合うのよね〜」



いたずらっ子の様な声音で、里子さんは俯いた柚樹の顔を覗き込む。

里子さんの言葉に、柚樹は顔をほころばせて大きく頷いた。



「和室に布団の用意しておくねっ」



柚樹はオレの横をすり抜けて、和室へと走っていく。

喜びが滲み出ているような背中を見て、オレの口元が自然と緩んだ。



「可愛いでしょ?私の娘」



里子さんからかけられた言葉に、オレの肩がビクッと跳ねた。

そんなオレを見て里子さんは楽しそうに笑う。

やっぱこの人、遥架の母親だ…。




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