奇跡〜冬に舞う桜〜
□第7話
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『あけましておめでとーございます!!!』
年は明けて、元旦。
着物に身を包んだチビっ子達は、オレ達に向かって一斉に頭を下げた。
動きに合わせて揺れる着物の裾や飾りに風情を感じながら、オレ達もあけましておめでとう。と頭を下げる。
今からオレ達は、昨夜参拝に行けなかったチビっ子達を連れて、初詣に出かけることになっている。
ばあちゃん手製の雑煮とおせちを食った後に、オレも別の部屋に移り、昨日柚樹が準備してくれた着物に袖を通した。
「うっわぁ〜…。なんか久々」
懐かしい着物の着心地に、オレは軽く感動する。
襟元を正してから、乱れた髪を軽く手櫛で直し、部屋から出た。
廊下を歩いていると、前方の部屋の障子が開き、中から柚樹が出てきた。
「あ」
「あ…」
オレも柚樹も同時に足を止め、オレ達の間に、微妙な沈黙が訪れる。
年明けで気分が上がっていたとは言え、柚樹を抱きしめてしまったこともあって、若干顔を合わせづらい。
というか、照れくさい。
掛ける言葉を探していると、柚樹の手に握られている帯が目に入った。
よく見れば、柚樹は着物を着ているものの、帯を巻いていない。
「帯、巻かないのか?」
「あっ…自分で綺麗に帯が巻けないから…遥姉に巻いてもらおうと思ってたの」
「帯ぐらいならオレが巻いてやるよ。貸して?」
柚樹の手から帯を受け取り、オレ達は部屋の中に入った。
帯を巻きやすいように、柚樹に両腕を上げてもらい、素早く腰に帯を巻いていく。
その手際に、柚樹は驚いたように声を洩らした。