奇跡〜冬に舞う桜〜

□第4話
1ページ/7ページ





―――……柊家は朝から賑やか。

…と、近所の人達からはよく言われている。

悪い意味じゃなくていい意味でね。

そんな普段から賑やかな柊家に、また新しく賑やかになる要因が増えた。


『藤堂平助』


クリスマスイブの夜に柊家の庭に…

落ちてきたんだろうなぁ、多分。

だって落ちてきた音が聞こえてたし。


柚曰く、『薄桜鬼の世界から転生してきた』らしいけど。

まぁ、なんやかんやで柊家に住むことになった青年(?)だ。


歳は柚と同い年かと思いきや、18歳。

歳の割に幼く見えるのが平助の特徴かな。

後、触ると気持ちいい前髪と。

江戸時代から現代に転生してきて、慣れるのに時間がかかるとふんでいたけど…



「遥架ぁっ。掃除機かけっからそこ避けてっ」



…この通り馴染んでます、現代に。

掃除機が妙に似合ってます、平助。

頭に巻いてる黄色いバンダナも似合ってます。



「はいよー。2階の窓ってまだだっけ?」

「今智弥が拭いてる。1階が終わったら来いってさ」

「りょーかい」



年の瀬も迫り、柊家はただいま大掃除中。

まだ29日だけど、明日は祖父母のいる島へと親戚達より一足先に帰って、島の家を大掃除することになっている。

ちっちゃいのがいっぱいいたら掃除どこじゃないしね。



「じゃ、1階の掃除がんばって〜。あたし2階の掃除もしてくっから」

「おぅ」



1階の窓は一通り拭き終え、次は2階。

ベランダに続く大きな窓と、プライベート用の部屋、そして、平助が来る前までみんなで寝ていた寝室がある。

プライベート用の部屋は、あたしと柚の2人で一部屋。

智が一部屋。

まぁ、平助が来たことで智と平助の2人で一部屋になるかな。

それと、今はここにいない母さんの部屋が一部屋。

その部屋の窓を全部拭かなくてはならない。

智大変だったろうな…。



「智〜。手伝いにきたよ〜」

「おー。ベランダの窓拭いてくれるか?内側と外側両方」

「スプレーある?」

「ん」




次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ