奇跡〜冬に舞う桜〜
□第3話
1ページ/16ページ
『冬休み』
それは学生に与えられる長期休暇。
長期といってもほんの2週間程度。
その長いようで短い休暇中に学校から出された宿題を
普段はできない冒険を
年の最後には大掃除を
しなければならない。
学生の本業は勉強。
つまり学校から出された宿題を片付けるのが基本だろう。
しかし、宿題にばかり時間を割いていれば、普段はできない冒険ができなくなるではないか。
どちらかの時間を多く、
どちらかの時間を少なく、
天秤にかける二つの時間。
どちらかを選べと言うのなら私は……───
「冒険の時間を選び取る!」
「いきなりどうした柚樹?」
「平助くんっ、朝ご飯食べたら公園行こっ!公園っ」
「公園?」
「子供が遊ぶための広場だよっ!遊びの道具がたっくさんあるのっ。せっかくの休みなんだから、今の内に外の世界をもっと知ろうっ?」
「後半の言い分には納得するけど前半は聞き捨てならねぇ」
オレは子供じゃないっ!と大きな目で訴えてくる平助くん。
大丈夫…
十分子供に見えてるから。
オプションとして犬の耳と尻尾も見えちゃうよ。
「大人な平助くん、子供な私と一緒に公園に来てください」
「すげぇ無理矢理感があるけどこの際それは無視してもいいかな?」
「じゃぁ…公園、一緒に行こっ?」
「……おぅ」