奇跡〜冬に舞う桜〜
□第2話
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「───……ふぁーぁ…」
冬の朝の冷気が頬を撫で、その冷たさに俺は目を覚ました。
隣を見れば、寄り添う様に眠っている柚樹と平助の姿があった。
その向こうには、布団を頭まで被って眠っている遥架。
時計を見ると8時。
いつもなら柚樹が学校へ行く時間だが、今日から学生は冬休みだ。
俺も遥架も今日は大学は休み。
俺は枕元に置いてあった羽織に手を通し、布団から出て、冷気で冷えた畳の上を歩く。
そして、布団と布団の間から出ている繋がれた柚樹と平助の手の上に布団を掛け直し、居間に向かった。
「寒ぃから温野菜サラダでいっか。後はスープとオムレツと…」
朝飯を指折り考えながら廊下を歩き、途中、通りかかった風呂場に入り、洗濯機が止まっているかを確認。
中の洗濯物を取り出し、ハンガーと一緒に籠に入れて居間へと持っていく。
居間に入ると、まず初めにエアコンとヒーターをつけ、部屋の中を暖める。
ヒーターの前から少し離してから、洗濯物の入った籠を置き、台所で朝飯の準備。
もう手慣れたモンだなぁ。としみじみ思いながら、冷蔵庫から出してきた卵を割り、中に具材を放り込んだ。
そうしていると、頭に寝癖を作った遥架が居間に入ってきた。
「おはよー、智」
「はよ。俺、オムレツ作るからスープ作ってくれ」
「はいよー」
「後、温野菜サラダ」
「いっぺんに言えよコラ」
「ははっ。わりぃ」
双子の俺が言うのも何だけど、遥架はそこそこ顔がいいというプラスがあるくせに、男勝りな性格がマイナスとなって、結果的に0になっていると思う。
それでも、寄ってくる男はいるんだが。