奇跡〜冬に舞う桜〜

□第13話
1ページ/9ページ





「───……みんな、たっだいまぁ〜」



2月も半ばのある日。

今年の初め頃から仕事に出ていた里子さんが、今日家に帰ってきた。

里子さんは手にたくさんの荷物を持っていて、それらを玄関の床に置き、出迎えたオレと柚樹に抱きつく。

オレと柚樹も里子さんの背中に手を回し、抱きしめ返した。

久しぶりに感じる母親の温もりに、オレも柚樹も、どこか心地いい気分を味わう。



「2人とも風邪とか引いてない?」

「大丈夫だよ〜」

「オレも今んとこ大丈夫〜」

「母さんこそ、体調大丈夫なのか?」

「ぶっちゃけスッゴく眠たい」

「少し寝てきなよ。着替えとか洗濯しとくから」



遥架は玄関の地面に置かれたキャリーバッグを持ち上げ、そのまま風呂場へと持っていった。

オレと智弥は里子さんが持って帰ってきた荷物を持ち、それを居間に持っていく。



「じゃぁ、私はちょっと寝てくるわ」

「うん。ゆっくり休んでね」

「えぇ、おやすみ」



里子さんは2階へと続く階段を上がっていき、しばらくして、部屋の扉が閉まる音が聞こえた。

柚樹はその音を聞き届けてから、居間に入ってきた。



「こっちは書類とか入ってるやつだな…。…ほら、土産」




次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ