奇跡〜冬に舞う桜〜
□第1話
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「ネット通販とかで売ってんじゃねぇか?何だっけ…。『薄桜鬼随想録』だったっけか?」
「そう!それ!智、ちょっと調べて!」
「あー、はいはい」
智兄はノートパソコンを起動させると、インターネットの通販で私が欲しがっているゲーム、『薄桜鬼随想録』の在庫状況を調べてくれる。
やがて、目当てのものが見つかったらしいけど、どうやら在庫切れらしく、首を横に振った。
「やっぱ人気あるんだね、薄桜鬼」
「他人事みてぇだな。…ま、少し経てばまた在庫が入るだろ」
「うん。その時にまた買うよ」
「じゃぁさ、柚。その代わりと言っちゃなんだけど、他に欲しいもんある?本命が無理だったのは残念だけど、第2希望ならきいてあげれるから」
「や、ホントに大丈夫だからっ」
「でもさぁ…」
……本当はクリスマスプレゼントよりも、遥姉や智兄といられたら、私はそれだけでいいのに…。
なんて言っても遥姉は譲らないだろうな…。
うーん。と考え込む遥姉に、私もどうしたものか。と頭を悩ませる。
と、その時。
バサバサッ! ドサッ!
『!!?』
庭の方から、何かが落ちた音がした。
私達3人はそろって顔を見合わせ、同時に、庭に続くリビングの大きな窓の傍へと寄った。
カーテンを開けて、窓の外を見て驚く。
「すっ………ごーい…………」