小 説

□幸せの朝
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小雨が心地よい音色を奏でる朝。



木々に囲まれた閑静な家屋に棲む或る男女のお話。











「奉先様、もう朝ですよ」



耳元で囁く愛する者の声に、重い瞼をこじ開ける




「むぅ…」



「朝ご飯、冷めてしまいますよ」



「…雨が降っているのか」



「はい、夕べから止んでないみたいです」


「…起きたくない」




目をぎゅっと瞑って、布団に顔を埋める可愛いひと。



「駄目です」


そう言って布団を取り上げようとした白くか細い腕を、日に焼けた逞しい手が捕らえる

そのまま布団の中に引っ張って抱き寄せた




「もう少し寝ていたい」


幸せそうに言う声が愛しくて、卓に並べた朝食のことなどどうでもよくなった



「奉先様…」



回された腕に手を重ねる



「少しだけ…ですよ」


「雨が上がったら久しぶりに都に行くか。張遼や陳宮の顔もしばらく見ていないからな」




「ふふ、それは楽しみです。」



呂布は同じ布団の中で微笑む貂蝉をぎゅっと抱きしめ深く目を閉じる。



雨は2人を心地よい眠りにいざなった





fin

→あとがき




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