初恋

□青い夢
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すぐ近くにある温もりを肌に感じつつ目を覚ます。



やけに身体がだるく感じるのはどうしてだろう?と思い、温もりの原因に目がいく。

綺麗な黒髪、端正な顔立ちをした、俺の大好きな先輩。

カーテンの隙間から差す夕焼けが自分の肌を露わにし、鮮やかにそこかしこに散らばる紅の所有印に目がいく。

先の行為は現実なんだと理解し、恥ずかしさと嬉しさが混同する。


痛かったけど、先輩と…
これってすごく幸せなことなんだろうなぁ


一人、そう思い、横で寝ている人を酷く愛おしく想う。











着替えようと思い、気持ち良さそうに寝息を立てている先輩を起こさないように起きあがろうとしたとき、


「ぎゃッ」


変な声が上がった。


お尻のあたりに変な感触。
触ってみるとぺた、と自分にも身に覚えのあるものが。


え?え?なんでどうして?


自分の想定外の出来事に混乱するばかり。



すると、


「律、どうした?」


律の声に気付いたのか嵯峨が起きあがった。


「や!な、なんでもないです!」


一生懸命隠す律の太腿を伝う白い液が見えた。


「あ…悪い。出すの忘れてたな」
「やっ、だ大丈夫です、あのトイレ、借りますね…」


そう言って、その場から立ち去ろうとする律の腕をつかみ


「いいよ、俺がする」
「へ?!あ、の!先輩…?!」


ベッドに引き戻し、律は俯けになった。


「後処理してやんねーとかマジ駄目だな俺。悪い」
「え、や、いいです!先輩大丈夫です!…あっ」


後腔に異物が入ってくる感触。


(せせせ先輩の指が、また…!)







先ほどの行為の後だったため、後腔はなんなく指をそのまま呑みこんだ。
先輩が自分で吐きだした白濁を掻きだすために、指を動かす。
すると、俺の口からは次々に甘い吐息が漏れていく。


「ひぁ…はぁ……せ、せんぱい…」


律は必死で手で口を抑えようとする。
掻きだすために入れた指に感じてしまう。


生理的な快楽が再び舞い戻りつつある律は腰を浮かし、自身に手を伸ばした。


「また勃ってんの?若いな」


ははっと嵯峨の笑い声が聞こえる。
好きな人にこんなことをされて感じずにはいられなかった。


「…はっ……ぁッ」


気持ちよくて生理的な涙が頬を伝う。


徐々に律の息が上がって行き、絶頂がもうすぐだとわかっていながら嵯峨は意地悪をするように、わざと律のいいとこを触らずに自分の吐きだしたモノを掻き出していく。
くちくちと響く妖艶な音と律の抑えられずに漏れる声が耳につく。


「んぁっぁ、」


自身を扱きあげるスピードが増し、空いているもう片方の手で胸の尖がりに刺激を与える。
快楽はすぐそこ。


「、ア……ッ!」


嵯峨がそろそろというように、律の一番いいところを触ってやると律の身体が震え、声をあげて手の中に吐きだした。







吐精し、妙な倦怠感を身体で感じながら、呼吸を整えようと肩で息をする音だけが残る。
少しの間沈黙していた嵯峨が口を開く。



「…お前のその格好エロすぎんだろ」
「へ?」


思いがけない言葉のせいで自分の口から間抜けな言葉しか出てこなかった。


先輩のモノを見やるとそれは熱を持ち勃ち上がっていた。
その状況にすごく胸が熱くなる。


その時の律は俺が原因でそうなってしまったんだと思い、


「お、俺が悪いんでっ俺にさせてくださいっ…」
「えっオイ」


嵯峨の制止の声も聞かずに律は股間に顔を埋めるように頭を下げ、嵯峨のソレを慰めようとした。


傷つけないようにそっとソレに口づけ、先端から円を描くように舌を這わせそのまま口に含んでいく。
目をつむる律の長い睫毛が震え、その姿が嵯峨を余計に煽る。


「はっ…お前、やべーよ…ッ」
「んぅ…ん、」


舌をどう使えば先輩を気持ちよくできるのかとか、どこを触れば気持ちいいのかと、歯を当てたら痛いかなとか、模索しながらソレをしゃぶる。



薄らと目を開け舌でソレを扱いている律の姿はそれはそれは妖艶で、



「…ヤバ、」



ぽつりと気持ちをこぼし、律のその姿に我慢ならなくなり、頭を少し抑え、そのまま自分の腰を動かし始めた。
律もその動きに合わせて口を上下に動かし、嵯峨のソレを扱き、



「…ッ……!」



律の口の中に勢いよく吐精した。




「お前、無理に飲まなくても…」
「……っんぐ、」


ごくり、と喉を鳴らす。
ねっとりとした液体が喉を通って行く。


目の前からはぁと呆れたような諦めたような溜息を吐かれた。



「お前って俺のこと本当に好きだな」



そう言って、嵯峨が口直しの代わりにとキスをする。
口を開き、間から舌を入れる。
口全体に広がる苦い様な酸っぱい様な味の口腔内を隈なく舐めとり、その味を共有する。


そのキスはなんだかすごく優しくて愛おしくて甘くて、先輩の愛情が溢れてるとかそんな風に思ってしまった。


(俺の勘違いかもしれないけど…でも、)


ちゅ、と唇が離れると、律の口から自然と言葉が零れる。


いつも言ってる言葉。




ねぇ、せんぱい、


「だいすきです」























「……じゃねーよっ!!!!」
「あ、律っちゃんやっと起きたぁ〜」


思わず自分の夢で吐いたセリフにツッコみを入れつつ、現実に戻る。


目の下クマだらけの木佐さんが半分泣きながら俺の肩をゆすってた。

周りを見渡すと皆が皆床に臥している。寝ているだけなのだろうが、生きている気配がしない。

その状況にも関わらずだいぶ寝ていたようで、なんだか酷く申し訳なくなり、すいませんと一言謝った。


何故こうも修羅場って時に寝てしまうのか。
そして何度となくあのような夢を見てしまうのか。


はぁ、とひとつ溜息をつくと聞き覚えのある声の怒号と共に定規がスコンッと飛んでくる。


見遣るとそこには夢の元凶。かつての恋人。



「馬鹿かお前は!!校了まだなんだぞ!!!寝てんじゃねー!!!」
「う。すいません…」
「毎度毎度幸せそうな顔してっけど、ほんと何の夢見てんだよ」
「…ははは」


俺はその場を苦笑いでやり過ごし仕事に取り掛かる。







何度となく見てしまうこの夢をどうにかしたい。
そう思うが、夢は勝手に出てくるわけで。


夢だけど夢じゃない現実は幾度となく俺の頭を混乱させ、その所為で俺は考えたくないことを考えてしまう。




思い出になりきれないこの夢はいつまで俺に付きまとうのだろうか。



いつになれば俺はあの人から解放されるのだろうか。






そう思ってることで既に解放されることなんてない、
ずっと捕われたままなのだといことを理解せずに




俺は朝まで仕事に明け暮れるのであった。




20110508

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