short.

過去形愛シテル。
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ずっと、好きでした。




ずっと、愛していました。




ずっと、一緒にいたいと




本当に心の底から、思っていました。




ねぇ、ずぅっと言えなかったけど、大好きだったんだよ―――――。






―――――――――――――――――――――――――――過去形愛シテル。






ぴりりりりりりり・・・






「ん、」




「あむちゃん!朝だよー!!」




「起きて、起きて!!」




「お散歩日和ですぅー」




「・・・夢じゃ、ない」






イクトは、突然、あたし達の目の前から




消えていった。




でも、幸せそうに眠っているイクトを見たら、




涙も出なかったんだ。




だって、嘘だと思っていたから。






「・・・じゃあ、お墓参りのついでに散歩しに行こっか」




「やったぁー!」




「はーい!!」




「お散歩ですぅ!」












「イクトー、来たよ。」






強い日差しの中、買ってきた花を墓石の横の花瓶に供えて、




返事をするはずもないイクトの墓石の前で話し始める。






「ホントは、イクトが生きてるうちに言いたかったんだけど。」






バカみたいに苦笑しながら、目に涙を少しだけ溜めた。






「あたし、幸せだったよ。」






イクトを、好きになれて。




イクトが好きになってくれて。






「・・・でも、もう少しだけ待っててくれたらよかったのに、なッ・・・」






堪えた涙は、もう限界で。




ぼろぼろと頬をつたって落ちていく雫。




地面いっぱいに敷かれた小石と見えている砂に、涙は滲んだ。






「ずっと、ッ好きだった。ずっと、愛してた。ずっと、一緒・・・いたかったよ。」






あたしはこの時、




自分の意地っ張りを、初めてかと思うくらい




今までで一番嫌った。




ずっと、言えなくてごめんね。




イクトを失くしてから、気がついた。






本当の愛に。






バカだな、あたし。




死んで本当の愛を




見つけるなんて。




だから、今言えるのは









過去形愛シテル。









だけど








逢いに逝くから、待っていて―――――――――。










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